迷宮映画館

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アイデン&ティティ

2003年12月26日 | あ行 日本映画
その1 「Speed Way」というバンドに命かけてる山形出身の若者。ヒットは一曲だけ。世のバンドブームはすでに去り、なんとなく時代に取り残されれているのだけど、新しい道も見えない。ファンの女の子も一応まだいるし、そっちに不自由はない。でも、なんか違う。これでいいのか・・。

その2 ドサ回りもぱっとせず、レコー会社の社長からは、ひたすらヒットする曲を出せと言われる。取材にくるのも「あのバンドは今・・」みたいなのばっか。売れるためには仲間も切り捨てないといけないのか・・。

その3 彼には心の支えがあった。大学時代から付き合っている彼女。どんな女と寝ても、どんな苦境に立たされても、彼女だけは自分を支えてくれる・・・はず。彼女は何でもお見通し。母のような存在だ。でも、こんな俺で本当にいいのか・・・。

その4 かつてのバンドたちを集めたTV番組で、彼は吼えた、爆発した。思いのたけを歌った。自分らは何に踊らされてきたのか?何をやってきたのか?だれが自分をこうしたのか?すべてを出し尽くした彼に、何が待っていたのか・・。

「イカ天」とやらも見たことなければ、バンドブームがあったことや、それの仕掛け人がみうらじゅん氏だったことすら知りませんでした。若い同世代の人が見たら、面白いんだろうなと思いましたが、おばさん的見解としては、その4の答え、誰がそうしたのか?それは自分。その答えを、彼は知っていたはず、でも、知りたくなかった自分もいた。知ろうとしないで生きていくのは若者の特権。若者のよさも、悪さも、半端さも、アバウトさも、向こう見ずさもよーーくでてたなああ~と感じたわけ。でも、それが決していいとは思わない。でも、若者には必要なステップであることには変わりない。

ただ、その若者の姿を描いたのは、私たちの年代。監督も、脚本も。これがすべて若者が描いていたら、きっとおばさんには理解できなかったものになったと思う。どこかに、兄のような、母のような(父のような視点はなかった)大きな器を感じた作品。なんか、まとまりませんでした、ごめん。

『アイデン&ティティ』

監督 田口トモロヲ  
脚本 宮藤官九郎 
原作 みうらじゅん  
出演 峯田和伸 中村獅童  麻生久美子 2003年 日本作品


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