迷宮映画館

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フルートベール駅で

2014年07月04日 | は行 外国映画
青年の運命は誰も知っている。予告を見ていただけで、辛くなった。屈託のない笑顔、いつもとちょっと違う大晦日の夜。少し羽目を外して騒ぐのは道理だし、大目に見たい。でも、ちょっとしたことが重なっていって、青年に悲劇が訪れる。あえて見たくはない。できれば避けて通りたい。しかし、知らないで通り過ぎるわけにはいかないのだ。

家族がいる22歳の青年。仕事をくびになり、いろいろと面白くない。でも、そこ終りでは決してない。それまでに悪さもしたようで、大変は大変なようだが、まだまだ未来は変えられるはず。しかし、無残にも人生を終わらせられてしまった。衆人環視の中で。

そうなるには、そうなるべくの経過があった。いつもは車で移動するはずが、たまたま電車で、前に檻の中で喧嘩した相手と出会ってしまった。騒動はどんどんと大きくなる。ほんのちょっとの行き違いから、なにかものすごいとんでもない悪が起きたかように、恐怖がまとわりつく。そして、警察官が発砲。

通り魔にあったような悪夢が通り過ぎた。でも、通り魔だったら、まだあきらめがつきそう。いや、あきらめはつかない。でも嫌いな言葉の不可抗力だ。警官に発砲させたのは、何なのか?そこにあったのは、恐怖だ。じゃあ、何に対する恐怖なのか?自分の心の中にある疑心暗鬼という悪魔にやられ、恐怖という闇にまとわりつかれている。うーん、何ともさもしい世の中だ。

青年が黒人であったことが原因だと断言はできないが、要因の一つであることは間違いない。恐怖にまとわりつかれている拳銃を持った警官に求められるものは一体何なのか?しばし、考え込んでしまう。

被害者となった青年を演じたマイケル・B・ジョーダンの普通っぽさが、際立ってた。屈託のない表情に、憂いを持った顔、家族を愛し、妻を愛し、娘を大事にするごくごく普通のパパの顔。実際のオスカーを髣髴させてもらった。

◎◎◎○

「フルートベール駅で」

監督 ライアン・クーグラー
出演 マイケル・B・ジョーダン オクタビア・スペンサー メロニー・ディアス ケビン・デュランド チャド・マイケル・マーレイ


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