迷宮映画館

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フランシスコの二人の息子

2007年05月15日 | は行 外国映画
ブラジルの田舎、それも物凄いド田舎で小作をしているフランシスコ。彼は無類の音楽好きで、貧しい苦しさなんぞ、へのカッパ・・・みたいである。次々と子供は生まれるは、貧しいは、親にも見離されるは・・・。でもめげない。

子供たちも、親父のおかげで(?)無類の音楽好きに。でも歌わせると音痴なところが愛嬌たっぷりだ。ここ、ここなのだ。ブラジルで国民的な歌手。ミリオンセラー続出の歌手で、その歌声は味わい深い。しかし、それは天性のものではなく、努力の結果、苦労の結果、苦難続きの人生の結実であるというところがぐぐっとくる。

地代も払えないくせに、アコーディオンとギターを買ってきてしまい、とうとうなけなしの土地を追い出される。街に出てきたが、住む家は穴だらけ、水漏りだらけのあばら家だ。弟は難病に罹り、今日食べるものすらない。おなかがすいた、という妹に母は、「寝てればおなかがすいたのは忘れられるわ」といって、涙を隠す。

ここで兄のミロズマルが決意する。弟・エミヴァルとバスターミナルで歌うのだ。このときの意を決したような歌声。初めてお金を入れてもらったときの素直な嬉しさ。何かを湛えたような深い眼差しが本当に素晴らしかった。

その後、二人は怪しげな興行師に見出され、全国を旅するが、照る日もあれば、曇る日もある。そして、最愛の弟との別れ。

大人になっても、出来る事はやはり歌う事しかない。夢見ることは簡単だ。しかし、現実は厳しい。彼の人生、そのものが厳しいものだった。しかし、歌がある。音楽があった。歌のない人生なんて、なんて味気ないか。歌い続けて、家族を愛し、音楽を愛した父親がいて、そして貫いた。凄い。

ブラジルの超人気カントリー歌手、ゼゼ・ジ・カマルゴ&ルシアーノというグループの歩んだ道だ。ゼゼが、自分の人生は映画そのものだ。絶対映画にすれば当たると、持ち込んだそうだが、本当に映画そのものだ。次から次へと起きる難題、貧しいも貧しい、超どん底の生活から、いきなりの贅沢な暮らし。そうかと思うと、突然の悲劇が起きたりと、なんとも忙しい。

でも、落ち込んでも、辛い目にあっても、立ち直れないような目にあっても人間はたくましく生きてくもんだ。その支えになったのは、愛すべき親父と音楽。少年のデュオから、大人の歌声まで、どれもとっても心地いい。とっても、とってもいい映画だった。

『フランシスコの二人の息子』

監督 ブレノ・シウヴェイラ
出演 アンジェロ・アントニオ ジラ・パエス ダブリオ・モレイラ マルコス・エンヒケ マルシオ・キエリンギ チアゴ・メンドンサ パロマ・ドアルテ


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2 コメント

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本当心地いい (miyu)
2008-01-06 23:23:11
映画ですよねぇ~。
かなりツライ現実が彼ら家族を襲うわけだけど、
それでも父ちゃんの純粋な夢が
実を結んで本当に良かったぁ~。゜(゜´Д`゜)゜。
と感動してしまいました。
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>miyuさま (sakurai)
2008-01-07 21:01:31
あ、そういやなんか聞いたことあるかも・・・みたいな曲でしたが、人間って、声一つで素晴らしいものを生み出すんですから、すごいですよね。
素直に感動しました。
父ちゃんのわがままっぷりと、意志と、お茶目さがよかったです。
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