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第422回 <再掲>東京五輪の「非注目」種目

2021-05-21 | エッセイ

 東京五輪をめぐるドタバタ劇に辟易としながら、少し前にアップした記事(第335回(2019年9月))を再掲載する気になりました。開催する、しないに関心が集まるのは当然として、五輪のあり方そのものにも目を向けて欲しいとの思いからです。

 昨今の五輪は、スポーツというより「カネ、カネ、カネ」優先の「興行」のように見えます。興行ですから、実はこんなマイナーな競技まであるんですよ、と(アスリートには申し訳ないですが)皮肉っぽいトーンで記事に仕立てました。あくまでひとつの切り口としてお読みいただければ幸いです。
  
★ ★以下、本文です★ ★
 自宅近くのスナックを手伝っているおネエさんは、オリンピックの「入場式」の熱烈なファン。「私ね、入場式だけは必ず見るの。知らない国とかいっぱい出てくるでしょ」「リヒテンシュタインとか?」「そうそう。そんな国が入場してきたら、一体どこにあるんだよとかって、地図帳広げて調べるの」「へえ~、変わった楽しみ方だねぇ。で、競技の方には興味ないの?」「全然!見るのは入場式だけ(きっぱり)!」

 そこまで極端ではありませんが、私も、オリンピックそのものにあまり関心がないクチ。たまたま、日本が強そうな競技をテレビでやってて、他にすることがなければ見るかな~、という程度のファンです。そんな「へそ曲がり」ですので、あまり「注目されてない」(と、私が独断で決めた)競技の「見どころ」を、大会組織委員会のサイトも参考に、ご案内しようと思います。

<オープン・ウォーター・スイミング>
 水泳競技の一種目です。お台場海浜公園沖に設けられた外洋のコースで、男女とも10kmのレースを争います。水泳の原点とも言えるワイルドな競技で、それなりの意義はありそうです。

 ただし、選手ではなく、主催者団体が戦わねばならない相手が2つあります。
 一つは、上限が31度と決められている「水温」です。真夏の大会ですから、基準をクリアするのは厳しそう。
 もう一つは、大腸菌です。今年8月のトライアスロンのテスト大会では、大腸菌の数字が、国際水連の定めた基準の2倍あったため、スイムは中止になりました。大会中は、防護膜などの対策を講じるというんですが、競技が行われるかどうかが、この種目の一番の「注目ポイント」かも。

<サーフィン>
 昔はナンパのツールだった、とのイメージがある私みたいなオジさんは、隔世の感を覚えます。

 まずもって、波という自然が相手です。「刻々と変化する波にどのタイミングで乗るかが重要になる。自然の中で運を味方につけながら戦うスポーツがサーフィンなのだ。」(同サイトから)とすごいことが書いてあります。運任せの要素に加えて、(常々私が疑問を感じている)採点競技です。果たして五輪の競技にふさわしいのかなぁ、というのが素朴な疑問。
 男女各20人が、10本前後のライディング(波乗り)を行い、技の種類や難易度、スピード、パワーなどをジャッジが採点し、高い2本の合計得点で勝敗を決する仕組みです。

 ひとつの波に乗れるのは、ひとりだけです。崩れる直前の波の頂上(ピークと呼ばれます)に一番近い選手にその波に乗る「優先権」があります。そこにいろいろ「駆け引き」の入り込む余地がありそうな「競技」です。「技」とか「テクニック」というと堅苦しいので、「芸」を楽しむつもりでの観戦がオススメです。

<スポーツクライミング>
 人工の壁に設けられたホールド(突起)を利用して、素手とクライミングシューズだけで、スピード、到達の高さなどを競う競技です。同サイトから画像を借用しました。

 「スピード」、「ボルダリング」、「リード」の3種目がありますが、何といっても注目は、「スピード」ですね。高さ15メートルの壁を登るタイムを競うのですが、他の種目と違って、ルートの設定は世界共通の固定です。いくらでも、事前の練習ができますので、優勝タイムは、男子で5~6秒、女子で7~8秒という早さ。せっかちな人は、要注目かも。

 と、あまり注目されそうもない3競技を案内してきましたが、いかがですか?
 選手・観客への暑さと熱中症対策、競技施設の完成具合、ボランティアも含めた運営体制などなど、競技よりも、その周辺のことが、注目、話題を集める大会になる予感がします。

 それでは次回をお楽しみに。

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