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第499回 懐かしの昭和ギャグ集

2022-11-18 | エッセイ
 「ギャグ」とは、本来、笑いを取るための仕掛け、所作、決めゼリフなど様々なものを意味するようです。先日、「ギャグ語辞典」(高田文夫ほか 誠文堂新光社)という本を見つけました。そこでは、古いものから新しいものまで、セリフ、言葉のギャグを中心に集められています。私自身がリアルタイムで体験してきた「昭和」のギャグをいくつか選んでお届けします。どうぞお楽しみ下さい。

★当たり前田のクラッカー★
 昭和37年、コメディ時代劇「てなもんや三度笠」がスタートしました。主役の藤田まことが、冒頭の寸劇ナマCMで、悪人をやっつけて言います。「オレがこんなに強いのも」に続くのがこのセリフ。前田製菓は随分売り上げを伸ばしたはず。同書からイラスト(左は、白木みのるが演じた相棒の「珍念」)を拝借しました。

 英語の助動詞 " should " には「当たり前だ、当然だ」という用法があります。当時、ラジオの受験講座で、英文法を担当していた講師が、「「当たり前だの "should" 」と覚えときなさい」とよく言っていました。(おかげで)今でも覚えています。使う機会はなさそうですが・・・

★アムステルダムの朝は早い★
 1970年代半ば、ネスカフェ(インスタントコーヒー)が世界各地の朝の風景をシリーズ化したCMをさかんに流してました。これをギャグにしたのが大阪の落語家・笑福亭松之助です。「アムステルダムの朝は早い・・・・朝はどこかて早いがな」
 で、彼の高座の面白さにひかれて入門したのが、当時高校生の杉本高文・・・のちの「明石家さんま」です。アムステルダムの朝が結んだ縁は異なもの、でした。

★一週間のご無沙汰でした★
 中学生の頃、日曜お昼の楽しみは、「ロッテ 歌のアルバム」。生バンドをバックに、玉置宏の司会で、最新の歌が聞ける豪華な番組でした。「一週間のご無沙汰でした。司会の玉置です」と登場するのがお約束でしたが、これは、漫談家の牧野周一から譲ってもらったのだといいます。牧野が司会をしていた「しろうと寄席」で時々使っていたもの。番組が終わると聞いた玉置が「使わせていただきたい」とお願いすると「ようがす」と快く承諾してくれました。ちょっといい話?

★王、金田、広岡★
 1960年代のプロ野球の名選手の名前を並べて、「おお、金(かね)だ、拾おうか」というダジャレギャグです。当時の子供たちが全国で使っていたと本書にありますが、出処は書いてありません。実は、柳亭痴楽という落語家がいました。「痴楽綴り方教室」と称して、山手線の駅名やら、プロ野球選手の名前やらをズラズラと並べてダジャレトークを展開するというのをウリにしていました。これもそのひとつです。学習誌に口演ぶりが採録されていたのをはっきり覚えています。私の中では、彼の創案ギャグです。

★お呼びでない?★
 伝説のバラエティ番組「シャボン玉ホリデー」は数多くのギャグを生み出してきました。植木等といえばこれです。本書によれば、きっかけは、彼の「出のトチリ」。出番でない場面で、次のコントの衣装でカメラ前へ。「オット、これはお呼びでないのネ。こりゃまた失礼しました」との一言がスタッフに大ウケで、定番のコントになりました。
 歌手の布施明が歌っています。そこへ兵隊姿の植木が、「伏せっ、伏せっ」と叫びながら匍匐前進してきます。周りの冷たい視線に気づいてこのセリフ。お約束通りですけど、笑えました。

★川口浩探検隊★
 70年代から80年代にかけて40数回放映されたテレビ番組です。俳優・川口浩を隊長に、アマゾン奥地での原始猿人バーゴンや、巨大怪蛇ゴーグやら、とにかく見つかれば世界的大発見なものを探しに出かけます。子供達はワクワク、私は「ホンマかいな」と見てましたが、いつもカラ振りがお約束。「初めて入る洞窟なのに奥に照明係がいる」などツッコミどころも満載でした。番組自体がギャグだったんですね、今時は珍しくもないですが、当時はそれなりに新鮮な「ギャグ」でした。

★責任者出てこ~い★
 以前、大阪弁講座の「ぼやき」で登場してもらった人生幸朗・生恵幸子の漫才での決めゼリフです。歌謡曲のタイトルやら歌詞やらを散々あげつらった末に人生幸朗が発します。私が覚えてるのはこんなやりとりです。
「まあ皆さん、聞いて下さい」「どうしたのよ」「太川陽介の歌、何ですかあれ?「太陽にキッスしよう」やて?できるもんならやってみぃ。大ヤケドするどっ」「まあ、まあ」「責任者出てこ~い」「出てきたらどうすんの?」「謝ったらエエねん」
 最後は「昭和」プラス「関西」のギャグで締めました。

 いかがでしたか?昭和の時代を生き抜いたオジさん方、オバさん方に懐かしく笑ってもらえば、という趣向でお届けしました。お若い方々にも楽しんでいただけたなら幸いです。
 それでは次回をお楽しみに。