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第497回 「えげつない」ほか-大阪弁講座52

2022-11-04 | エッセイ
 第52弾をお届けします。どうぞお楽しみください。

<えげつない>
 いかにも大阪弁らしい響きがあります。コテコテの大阪弁だと思うんですが、お笑いの影響でしょうか、今や全国的にも通用しそうです。

 コアな意味合いとしては、世の中の規範というか、基準から大きく逸脱しているのを指します。もちろん、悪い方、ネガティブな方に相当逸脱していなければなりません。
 「えげつないヤツ」といえば、物言いが、ズケズケとあつかましい人物が思い浮かびます。腹黒さ、底意地の悪さなどもあれば、いうことありません。
 数は多くないと思うんですけど、こんな大阪人がいるのも事実。そして、人を評するだけでなく、この言葉で反撃するのも大阪人の大阪人たる由縁でしょうか。
 「そんなに安うせぇ、安うせぇ言うても、これがホンマに限界ですわ。あんたも、「えげつない」人でんなぁ」

 「えげつない」振る舞いというのもあるわけで・・・
 「ワテの別れた女房(よめはん)、家財道具は言うに及ばず、電球の球から便所のスリッパまで、ごそっと持って出て行きよってん。「えげつない」ことやってくれるわ」気の毒なご亭主の顔ってこんなのでしょうか。


 さて、「えげつない」商売といえば、いろんなケースが思い浮かびます。一応まともに商売をやってはいるんだけど、儲け第一で不当に高い値段をふっかけてたり、質の良くないものを、売り抜けたりするのが代表的なやり方でしょうか。
 中には抱き合わせ販売とか、初回無料だけど2回目からガッチリとか、送りつけ商法とかの詐欺まがいの手口もあります。この手の商法が横行するのがいかにも大阪的。で、乗せられた方に厳しいのも大阪です。
「確かに「えげつない」やり方や。けど、よう調べもせんと、言い値で買(こ)うたアンタも悪いわ。しっかりせぇよ」同情しているのか、激励してるのか、馬鹿にしてるのかよく分かりませんが。

<うだうだ>
 ヒマでヒマで、時間を持て余してるような時、大阪のオッチャンが一番好むのは、「うだうだ」過ごすこと。語感でいえば、「だらだら」が近い気がします。
 さて、その中身はというと、結構幅があります。まずは、何もせんと、ぼーっとしてるのが「うだうだ」の代表的な状態。
「近頃、どないしてんねん?」
「することないから、毎日、家で「うだうだ」してますわ」

 そのくせ、大阪のオッチャンは、とにかく集まって、酒飲みながら、ワイワイしゃべるのも好き。とりとめもないこと、思いついた話題なんかを酒の肴に、ようしゃべります。笑いをとってナンボの世界なので、ツッコミを入れたり、入れられたり・・・・忙しい。
 そんな時間の過ごし方にぴったりなのも「うだうだ」
 「ゆんべ(昨晩)も、あいつらと、いつもの店で、「うだうだ」飲んでて、ひょいと時計見たら、とっくに終電過ぎてる時間や。ホンマ、往生(大いに困って)してもたわ」

 そうそう、くどくどと、文句とか恨み、グチを言い立てる様子も「うだうだ」と表現できます。
 「いつまで「うだうだ」と文句を言(ゆ)うてんねん。もう終わったことやねんから、ええ加減に諦めとき・・」なかなか、便利でしょ。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。