最近、何の本だか忘れましたが、井上ひさしの言葉として、「すべてのエッセイは自慢話である」というのが引用されていて、冷や汗が出る思いがしました。
当ブログもエッセイ(のつもり)ですので、ムキ出しの自慢話にはならないように、気を使ってはいるつもりです。でも、内容としては、
「実はこんな面白い話があります(ご存じでしたか?)」
「こんな事に気がつきました(スゴいでしょ)」
「こんな愉快な経験をしました(まあ聞いてください)」
などなど、心の内なる自慢、というループから抜け出せません。
さて、私も昔、ほんの一時期やっていたSNSですが、いまや大自慢大会の様相を呈しているようで、おおっぴらなものから、ひねりの入ったものまで、いろんな自慢テクニックの情報をネットで目にします。あくまで、他山の石とし、自戒の念を込めて、いくつか紹介してみます。
「パリピオヤジ」というのを、初めて目にしました。「パリピ」とは、「パーティーピープル」のことだそうで、まあ、パーティー好きということなんでしょう。パーティーとかイベントに参加した写真をアップして、「こんなにいろんなパーティーに呼ばれるほど人脈が広いオレ」「パーティーでそつなく振る舞うオレ」のアピールです。かなりストレートな自慢テクですね。こんな写真をアップしたりするんでしょうか。
モテのアピールをするのに「匂わせ」というテクニックがあるんだそうで、食事中の写真に、向かいの席にいる女性を映り込ませたりするというもの。たまたま向かいにいるだけの女性との親密さを「匂わせる」というわけです。中には、相手の腕だけとかを映り込ませて、実はデートなんだとほのめかすテクもあるそうで、ひねりの入った(ご苦労様な)手口と言えそうです。
さて、若者との距離を(無理に)詰めようとする自慢テクもあるといいます。
若い女性ユーザをフォローしまくったり、コメントをつけまくる、というストレートで、セクハラまがいの手もありますが・・・・
「それって、今、若い人の間で流行ってんだよな。オレやってる」とか「あっ、そのツール知ってる。オレも興味持ってんだ」とかの書き込みで、「若者のことが分かってるオレ」「最先端をいってるオレ」のアピールです。でも、若者へのコビ、ヘツライと紙一重。ボケ防止には良さそうなんですけど。
とまあ、私自身がオジさんなので、オジさん中心に、分かりやすい例を取り上げました。が、謙虚で控えめに振舞ったり、書いたり、しゃべったりすればいいかというと、事はそう単純でもないようです。
関西のオッちゃんがよくやるのが自虐トーク。「彼女との大事な約束、コロッと忘れてもうて、三拝九拝、土下座までして、デボチン(おでこ)血だらけですわ。・・・ホンマまいりました」
この程度のトラブルにはメゲないオレ、それを面白おかしく語れるオレ、などという自慢が(こっそり)入ってたりしますから、油断なりません。
で、私の場合、ブログの記事を書くに当たって、心掛けているいることですが・・・とこれまた、自慢になりそうで、自慢のループから抜け出せませんが、もうしばらくお付き合いください。
まず、文章だけでもエラソーにならないように、「です・ます』体を基本にしています。
作家の椎名誠のように「~である」『~なのだぁ」そして、時に「コノヤロ」も入れた文章も書いてみたいのですが、とても無理。彼の場合、彼自身の実体験を、彼自身の言葉で語っているので、エラソー感もなく、読みやすいのじゃないでしょうか。
読んだ本からのネタ、という借り物で勝負(?)することが多いので、せめて文体だけでも、という私なりの殊勝な心掛けのひとつです。
もう一つは、ユーモアです。
言葉使いはともかく、「内容的には自慢」なので、「ど~だ」「ど~だ」と一方通行になりがちです。そこで読む人の気持ちを和ませ、軽く息抜きをしてもらうーーそれがユーモアの役割かなと勝手に決めています。
「そんなわけないですけど」と自分でツッコミを入れてみたり、「私自身が一番出来てへんのですけど」などと、関西系の自虐に走ってみたりが精一杯で、まだまだ発展途上です。
そして、一番肝に銘じているのは、いろんな話題を上から目線で「伝える」のではなく、愛読者の皆さんと「共有する」思いを込めて書く、ということでしょうか・・・・な~んて、最後まで自慢っぽい話にお付き合いいただき、ありがとうございました。これからも「自慢話」をご愛読ください。
それでは、次回をお楽しみに。