音楽が「説明」であるうちは芸術ではない
言葉が「説明」のために使われるうちは、それは道具であって芸術ではない
「説明」を超越した時に僕らは「それそのもの」になって
空気のように相手の心にすんなり入っていき
そしてそこで手を取り合って喜び合える
…はず…
しかし
青空の白い雲を見て 美しいと思っている人の想いは
その時美しいと思っていない人の中には入っていけない
心の中に歌を奏でている人の想いは
その時心の中で歌を奏でていない人の心には入っていけない
受取人の見つからない心は、その時行き場を見失い
迷える魂となって空中にさまよう
しかし
消えてしまうことはない
さまよいながらずっと在り続ける
そして
放った人間ですら、その寂しさを忘れた頃
どこか知らない街の誰かに拾われる
この世界の空間には こんなさまよえる心が無数にフラフラ飛び交っている
だから
こんなに晴れた青い空と白い雲を見ると
心が遠くに飛び
切なさを感じずにはいられない
そして人間は、その切なさを慈しみ育てる力を持っている