Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

スタンドバイミー

2009-08-20 | 記憶の風景







もうすぐ夏が終わるな...
















昨日、夫婦そろって仕事だったので

僕の母に1泊してもらって息子をみててもらった


その年老いた母がさっき帰った



玄関で見送ったあとも
気を付けて帰ってね、と心で思う

その途端、郷愁に引きづり込まれた





夏は何故か僕は感傷的になる

秋よりもずっと












ウチの実家から歩いて5分

バス通りに出てすぐの、はす向かいに神社がある


親がお宮参りを、その神社にしてくれたってことで
僕はその神社の氏子なんだそうだ









小学生の頃、季節は必ず夏だったと思う
毎日のようにその神社で草野球をしていた

テニスラケットをバット代わりにしたもので
そのラケットは、ダイちゃんと呼ばれてた同級生が持って来てくれていた

彼は野球が上手なのに、下手な奴も打てるようにってラケット野球を考案したのだ

僕は球技は全然音痴だけど
ダイちゃんのおかげで野球が楽しく感じられ、下校後に毎日参加してた

太っていて走るのが一番遅いトンベ~っていうあだ名の同級生も
楽しそうに毎回、その野球に混じっていた
当時は気付かなかったが
それは明らかにダイちゃんのラケット野球が楽しかったからなのだ


4時半だったか5時だったかのベルが街のスピーカーから流れるまで
毎日たくさん汗をかいて、ヘタクソな野球をした




ダイちゃんはラケットの淵の細い部分でよくホームランを打った

淵で打たれたその打球は、もの凄い回転が付いて
楕円になって軋みながら神社の本堂の屋根まで飛んでいった

僕はそのホームランに憧れたものだった




ダイちゃんは僕等が高校のとき
バイク事故で頭を打って生死の境を彷徨った

その後、バスで偶然会ったことがあり
事故のことはもう大丈夫なのかと聞いたら
頭が痛いのが取れない、と苦い表情で言っていた

今は元気だろうか..



そんなことをボンヤリ想いながら草野球のことをまた考える





神社だから、手を洗う柄杓置き場があって、その近くに水道もあった


汗だくになった顔を水道の水でジャブジャブ洗うと
鼻の奥に汗と水が入って、ツ~ンとした

洗った顔は拭かず濡れたままいる
すると急に風が涼しく感じられてス~ッと汗が引いて行った



その感覚を今でも鮮明に思い出す

それら全てが心地良くて、ずっと遊んでいたかった

そしてたまに門限を過ぎて母に叱られた




こういう遊び場の中に
子供にとっての成長の宝物が、どれだけ詰まっているか大人は知らない

知らないけれど子供を心配し、心から愛してゆく

そのギャップがお互いを苦しめることもあるけど




会わなくなった友達

だけど忘れないで残っている、そこに流れていた優しさ

愛情の中から生まれた沢山の擦れ違い



僕の中の郷愁

スタンドバイミー






昨日、歌いに来てくれた忍くんの子「Hくん」を抱っこして髪の毛にチュってしたら
子供の汗の潮っぽい良い匂いがした

その匂いがまた、あっという間に僕を郷愁の中に連れてゆく


それが忘れられなくて、ウチに帰ってから息子の頭の匂いを嗅いだら同じ潮の匂いがした





草野球

友達

鼻の奥がツ~ンとする感覚

子供の頭の潮っぽい良い匂い


親に見放されたら生きていけないくらい小さかった頃
自分が叱られて逆らう事も知らず泣いたことや


記憶の中の風景も現実も一つに混ざって
僕の中のいろんな郷愁が夏の中で揺り起こされる



何故だか郷愁の全ては、夏の中の出来事だったように思えて来る







蝉が外で鳴いてる







妻と息子は昼寝をしている














コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ちょっとの時間 | トップ | 2009/9/19 新宿 白龍館 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。