3つ目の花を記録してから
シャワーを浴びドライヤーを当てていると
熱風が僕に「お侍さん…」と呼び掛けた気がした
生まれる以前の記憶が戻ったかと
しばらく記憶の層を見回してみたが
それ以上お侍さんの記憶は見付からなかった
昨夜は暗くなってから北側の窓の外で
大好きなヒグラシが鳴いた
記録したくて
慌てて一瞬、携帯カメラで撮影…
と思ってしまったが
すぐに気を取り直し窓を開け
生楽器録り用のマイクを外に向けてセッティングし
ヘッドホンを被ったが
その頃にはヒグラシは鳴き止み
あとはミンミン蝉と油蝉の声ばかりが残った
諦めきれず
何処かへ飛んで行ってまた別の樹に留まって
ヒグラシが鳴くのではないかと
マイクの集音レベルを上げて
夏の夜の中の音を聞いていた
遠くの家の子供の声とか生活音が聞こえる
懐かしい昭和の匂いのする音風景だった
小津安二郎の映画でも観ているかのような錯覚に陥り
ノスタルジーの恍惚に酔った
最近、自らを枯らした真っ黄色なゴーヤの実は
収穫後1日経つと表面を弾かせ真っ赤な種を露にした
心が透くような鮮やかな色だった
今日はこれから東京タワーで演奏
「キミと僕」からも少し演奏させて頂く