僕の中の
もうそんなには無いと思っていた固まったものが
いろんな縁の作用でほぐれてゆくのを発見したとき
自分の内部が、少し涙で潤うような気がした
自分の中に足りていないもの...
無意識に感じている枯渇
他人のものはよく見えてる気がするのに
自分のものはよく見えない
誰かのため、と思ってしていたはずのことが
実は自分を受け止めて欲しいための行為であったと気づいた時は
アッと...声が出そうに驚く
四つ角を曲がったら途端に、自分とそっくりな人間と出くわしたようで...
誰かと深く関わるということは
自分の落としてきたものを今、もう一度見つけようとしていること...?
こんなことを考えながらさっきから運転をしている
ナビの音声が耳に入らず さっきから何度も曲がりそこなって
このままどこかの知らない町に行っても良いような感覚になる
むしろその町には
いつもの見慣れた町より帰る場所があるかのような感覚に襲われる
僕が過去に落としてきたものは
今 すぐそこに 少しだけ 見えていて...
そしてまだ掴めない
僕はその忘れ物の端っこを見ながら
子供が泣きじゃくった後の涙が引いて行くような気分の中にいる
ようやく発見しかけてる忘れ物を見失わないよう
思考が途切れぬようにそっと運転を続けた