soloライブの日程が決まると
まずは不安定な精神に陥る
自分には世間様に対して
ご披露出来得るものなど何も無いような感覚に包まれる
最近の自分の生活の中から
ご披露に耐えうるような美しいことを探してみるが
まずは何一つ見つからない
そして焦りが僕を包むところからいつも
ソロライブの準備は始まる
こんなことなら普段からもっと
美しい生き方を心がけていれば良かった、と
後悔しながら
自分の精神の内部に潜り始める内観に突入し
自分の内部に蓄積されている少しでも美しいものを探し始める
ダイバーが水中眼鏡とボンベを背負って潜る時のように
現実での音や世間の気配は膜がかかったようにゴボゴボと曇ってしまう
過去にした事でもいいから
忘れてる事があったら思い出したい
気付いたら涙が流れているような美しいものが無いか
水の中を探しまわる
そうすると
錆びて海底に静に横たわる沈没船のように
自分がこの人生でやり残している事や
やりたいが勇気が無くて出来ない事などの存在に行き当たる
そしてそれを眺めながら呆然と懺悔の気持ちに包まれるのだ
勇気が無くて出来ないでいることが
気付いたからといってすぐに出来るくらいなら
僕は音楽などしなくても生きて行けるかもしれない
気付いても出来ない
でも無かった事にも出来ない
僕のソロライブは
こういう混沌とした精神の中で準備される
10月のソロライブまでまだ数ヶ月あるが
ソロライブが例え10年先であっても
日程が決まりさえすれば即、僕のこの迷走は始まるのだ
ソロライブとは
素っ裸の自分を見せられないくらいなら
やらぬ方がマシだと思っているらしい
内観は海の底に潜る如く
これでもまだ今は海面から10mや20mくらいしか潜ってないように思う
海溝の底まで行かねばならぬ
海溝の底まで沈み続けるのに
邪魔になるもの全てとの縁を切りたいと思う
沈む程
喜怒哀楽からも離れる
現実で誰が何をしていようが無関心になって行く
自分の魂が今生でやり残した事だけが
クローズアップされ
僕はそれに包まれて行くのだ
誰の助けを借りる事も出来ないことを天から諭される
死、に近い場所に自分は居ると思う
もしくは
産まれい出る間際の苦痛の中に