さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

人口減と地方の課題

2018年04月16日 | 地域活性化のために
平成の大合併の後に、役場を失った市町村は、人口が二割近くも減っていた、という事実が総務省の人口調査からわかった。これは少し前の「毎日新聞」の記事だけれども、こういうまとめ方は、事柄の本質をきちんと示したものであると思う。それにしても、今後の日本社会の人口動態は予断を許さない。首都圏への人口集中と地方の過疎化、これをとどめるにはどうしたらいいのか、こういうことを私はその新聞記事をもとにして学生たちにも考えさせようと思っている。

 これに多少関連するが、しばらく情報収集を怠っていたら、いつの間にか滋賀県が長野県を抜いて日本一の長寿県になっていた。長野県は野菜をたくさん摂取するかわりに、世間で言われていたほど塩分の消費が減っていなかったということで、これは長野県では滋賀ショックとか言っているらしい。大勢の人の取り組みというものは、ほんの数年でも大きな差となってあらわれる、という事実がここからわかる。

このことから過疎化の阻止という事についてもヒントを得ることができる。一県単位の人々が集団でひとつの事に取り組めば、その成果は必ず四、五年から十年ほどのうちに目に見えるかたちで現れる、ということだ。だから、地方の政治や行政というもの、地方における自発的な運動や取り組みというものは、大事なのだ。自分の住んでいる地域では何をしたらいいのか?自分の住んでいる地域の二、三十年後をイメージした時に、いまから何をしていかなければならないのか。そういうことを若い人を中心にして真剣に話し合う場を作っていくことが必要だ。発電や、地場産業のあり方、後継者のいない農家の農地や遊休地の利用法、企業や研究所や学校の誘致など、さまざまな事象と絡めて総合的に考えたい。そういうことを中学生や高校生に考えさせたい。

毎日農業賞というのがある。これを見ていると農業高校の生徒が賞を取ったりしている。しかし、自分の住んでいる街の未来の産業を考える、ということは農業だけに限らない。過疎化の現状を憂える、という危機意識が、もっとその地域の心ある人々に共通のものとならなくてはならない。空き家。遊休地。休耕田。孤独な高齢者。介護難民。医師の不足。交通機関の赤字。若い人の都市への流出。こうした負のイメージがある現実について、逆転の発想でそれを変えてゆくようなアイデアを考えたい。本気でコーディネートし、人と人とをつなぐ事業を構想すること。

私が「君たちのうちの何人かは、将来市会議員になってもらいたい。」などと言うと、若い人たちはみんなげらげら笑う。現実のこととして思っていないし、自分は関係がない事だと思っている。どうもそのあたりで大きな勘違いがあるような気がしてならない。地域があって今の自分がある、ということを実感していない。へたにネットがあるために、みんなが東京都民のような感性でいられるものだと思っている。首都圏一極集中予備軍というような感性、これでは発明も工夫も育たない。あなた任せのまでは責任の意識が育たないのである。



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