今日の続きは、また明日

毎朝、カメラ片手の散歩で撮った写真を気の向くままに・・・

風薫る

2021年04月12日 | 徒然なるままに
いい天気ですね。

少し早いですが・・・新緑の中を風がわたり・・・まさしく「風薫る」季節です。

俳句では夏の季語

「夏草や君わけ行けば風薫る」 (正岡子規)

和歌では、鎌倉時代の「新古今和歌集」あたりから、梅や橘などの花の香りを乗せて吹く風と歌われるようになり、季節も夏とは限っていません。

それより古い万葉集では、花の香を詠んだ歌は極めて少なく、118首も梅の花が詠まれていても、香が詠まれているのはわずかに1首、

「梅の花、香(か)をかぐはしみ、遠けども、心もしのに、君をしぞ思ふ」
( 梅の花の香りの良さに、遠く離れていますけど、心はいつも、あなたさまのことを思っています。)

橘は68首詠まれていますが、香が詠まれているのはわずかに数首しかありません。万葉時代の人々は、どうも花の香に関心が薄かったようです。

「橘(たちばな)の 下吹く風(かぜ)の かぐはしき 筑波の山を 恋ひずあらめかも」

(橘(たちばな)の下を吹く風(かぜ)が香しい筑波の山を懐かしく思わずにいられましょうか。)

題詞に、「天平勝寳七歳(西暦755年)二月、相替(あいかわ)りて筑紫に遣わされる諸國の防人(さきもり)たちの歌」とあり、

常陸國(ひたちのくに)の防人(さきもり)達の歌17首の中の一首です。

これらの歌の注には

「二月十四日、常陸國(ひたちのくに)の部領防人使(さきもりことりづかい)大目(だいさかん)正七位上息長真人國嶋(おきながのまひとくにしま)が進(たてまつ)る歌數十七首 但し、拙劣(せつれつ)の歌は取(とり)載(の)せず。」とあります。

つたない歌は載せてもらえなかったのですね。

万葉以降には、花の香りを乗せた風の歌は数多く出てきます。

多くは、梅や橘ですが・・・

「花の香を風の便りにたぐへてぞ鶯さそふしるべには遣る」  (古今集 春 13)
(梅の花の香りを風の便りの供として、ウグイスを誘う案内役には遣つかわすよ。)

鎌倉から室町の歌集に、ようやく「風薫る」が

「風薫る花のあたりに来てみれば雲もまがはすみ吉野の山」  (新千載集 春 95)
(花の気配を漂わせる風をたよりに、桜が咲いているのはこのあたりかと来てみると、雲と見紛うこともなかったよ、吉野の山の桜は。)

これらは、いずれも風の香りを詠んでいますが・・・

初夏のさわやかな風という意味として使われるのは漢語の「薫風」を和らげて使われたからです。

「薫風」は禅語としてよく使われる、漢詩

薫風自南来(薫風南より来たり)、殿閣生微涼(殿閣微涼を生ず)からと言われています。

これは、

唐の文宗皇帝による起承の二句:人皆苦炎熱(人は皆炎熱に苦しむも)、我愛夏日長(我れは夏日の長きを愛す)

(世の人々は夏の日の炎暑に苦しんでいるが、私は一年中で一番長い夏の日が好きである。)

に対しての臣下の柳公権による転結の二句:薫風自南来(薫風南より来たり)、殿閣生微涼(殿閣微涼を生ず)

(暑さは厳しくとも、時折り南からかぐわしい風が吹いて来ると、炎暑に見舞われた宮殿もわずかに涼しくなって、心地よい気持ちを味わうことができる。)

でした。

「薫風」をそのまま熟語として使われるようになったのは、江戸時代、漢籍好みの蕪村あたりから・・・

「薫風や恨みなき身の夏ごろも」(与謝蕪村)

長くなりましたね・・・散歩

オオデマリ


モズ


調整池
アオサギ


ひさしぶりにカワセミ




モンシロチョウ


チューリップ






パンジーかな?


ハナミズキ


「桜蘂散る庭に出て土踏めり」 (松崎鉄之介)





アイリス



カメリアカスケード


青空に白い雲・・・


唱歌にも、風ではありませんが、若葉が薫るがありましたね・・・「わかば」です。

作詞:松永みやお、作曲:平岡均之

1 あざやかなみどりよ
  あかるいみどりよ
  鳥居をつつみ
  わら屋をかくし
  かおる かおる
  若葉がかおる

2 さわやかなみどりよ
  ゆたかなみどりよ
  田畑をうずめ
  野山をおおい
  そよぐ そよぐ
  若葉がそよぐ

昭和17年に国民学校用の教科書に掲載されてますが、この前年12月には日本は太平洋戦争に突入しています。

検閲があったと思われる戦争中とは思えない、さわやかな歌が採用されているのは、まだこの時期には余裕があったという事でしょうね。

戦後は、小学4年音楽教科書に掲載されたようなので、習ったはずですが・・・

「かおる かおる」と「そよぐ そよぐ」の繰り返しが遠い記憶にあるだけなんですよね・・・

今日は、長くなりましたm(__)m

では、(@^^)/~~~



コメント
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