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♯安倍政権継続内閣・菅総理

2020-10-08 | 報道・ニュース

菅首相が自賛するふるさと納税制度が「セコい日本人」を大量に生んだ 

「ふるさと納税」制度を導入した結果…(イラスト/井川泰年)© マネーポストWEB 提供 「ふるさと納税」制度を導入した結果…(イラスト/井川泰年)

 菅政権がスタートした。これからはコロナ対策と社会経済活動を両立していく舵取りが重要となってくるだろう。これまでの菅義偉氏の足跡を振り返りつつ、今後はどのような課題が待ち受けているのか、経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。

 * * *

 菅義偉内閣の顔ぶれは、全くサプライズも新鮮味もなく、がっかりした。安倍晋三前首相の弟、秘書として仕えた代議士の息子、官房長官時代の官房副長官、同じ神奈川県選出の国会議員、初当選同期など、いわば「義理人情内閣」である。

 とはいえ、菅内閣への期待は高い。マスコミ各社の世論調査によると、内閣支持率は74~62%に達している。各地の知事からも「秋田出身の苦労人で、地方のことをよくご存じ」(静岡県・川勝平太知事)、「地方行政を十分知り尽くしている方」(長野県・阿部守一知事)、「地方創生の推進へ力添えをしてもらえる」(長崎県・中村法道知事)といった歓迎の声が報じられた。

 しかし、多くの人は誤解している。周知の通り、菅首相は安倍前首相の女房役として二人三脚でやってきた。つまり、アベノミクスの失敗をはじめとする安倍政権の「負の遺産」を7年8か月にわたって積み上げてきた人物であり、「安倍総理が進めてきた取り組みを継承していくことが私の使命」などと言っている。

 だが、安倍政権の負の側面を検証、反省、修正しなければ日本が21世紀の世界で繁栄することはできない。

 最もダメージが大きいアベノミクスの間違いは、20世紀の延長線上で考え、政府が市場経済に積極的に関与するニューディール的な政策を8年近くも続けたことだ。日本政府はデジタルディスラプション(デジタルテクノロジーによる破壊的で創造的なイノベーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション/デジタル技術で人々の生活をより良い方向に変化させたり、既存のビジネス構造を破壊したりして新たな価値を生み出すイノベーション)などの新しい潮流に対応できる準備を整え、組織運営体系を大きく変えねばならなかったのに、20世紀を引きずった安倍前首相が長居しすぎたため、世界から8年も遅れてしまったのである。

 また、菅首相は「縦割り行政の打破」を唱え、それを官房長官時代に実現したことを自慢している。しかし、その事例は大雨時に下流の水位を下げるためのダムの事前放流、楽天を巻き込んで進めている携帯電話料金の引き下げ、農産品輸出の倍増、鳥獣被害対策と所得向上のためのジビエ活用の支援など、涙が出るほど矮小だ。もちろん、それらも重要なことではあるが、各省の担当課長に任せればよいレベルの話だろう。

 さらに菅首相は、総務相時代に官僚に大反対されながらも「ふるさと納税制度」を立ち上げ、今では年間約5000億円まで拡大した、と自画自賛している。だが、これは複雑骨折した大怪我に絆創膏を貼るようなものであり、そんな一時しのぎの方法で日本の歪んだ税制の問題を解決できるわけがない。しかも、お得さなどを競う返礼品競争と化したふるさと納税は“さもしくてセコい日本人”を大量に生み出しただけである。

 そもそも菅首相は、地方自治の根幹が理解できていない。かねて私が提言しているように、都道府県や市区町村は、憲法第8章の定めにより、単に「国から業務を委託された出先機関(地方公共団体)」でしかない。つまり、日本の地方に「自治」はないのである。

 だから、どれだけ予算を注ぎ込んでも地方は創生するどころか衰退し続けているのだ。憲法第8章を改正し、地方が経済的に「自立」できるようにして、現在の中央集権の統治機構を根本から変えなければ、日本は再生できないのだ。しかし、菅首相にそういう認識は全くない。

 では、菅政権は今後どうなるか? 当面は新型コロナウイルス対策と社会経済活動を両立していく舵取りが重要となる。しかし「Go Toキャンペーン」や「ワーケーション」といった陳腐なアイデアしか出てこないようでは、遠からず行き詰まるのではないか。キャッチフレーズは「国民のために働く内閣」だが、ならば「これまでの内閣は誰のために働いていたのか?」「安倍内閣はお友達のために働いていたのか?」と突っ込みたくなる。

 自民党総裁としての任期は来年9月までなので、野党が混乱し、内閣支持率が高いうちに衆議院の解散・総選挙に踏み切れば、自民党が圧勝するかもしれない。その場合は総裁選で菅首相が再選されるだろう。

 ただし、今回の総裁選で見送りとなった党員投票を行なうと、他の候補者が勝つ可能性もあると思う。今は「ポスト菅」候補として加藤勝信官房長官、河野太郎行政改革担当相、小泉進次郎環境相、茂木敏充外相らの名前が挙がっているが、よく言われるように政界は「一寸先は闇」だから、全く違うルートから有力候補が出てくるかもしれない。

【プロフィール】

大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。

※週刊ポスト2020年10月16・23日号

 

[追伸]

見えてきた♯安倍政権継続内閣・日本学術会議メンバーの「任命拒否」問題と説明の問題

特定の政治目的を実現するための人事介入による官邸支配の強化


安倍首相病気辞任劇の正体

2020-10-08 | 報道・ニュース

            安倍首相病気辞任劇の正体とは 「コロナ対策尽力」イメージが隠したもの

安倍首相病気辞任劇の正体とは 「コロナ対策尽力」イメージが隠したもの

(47リポーターズ)

 新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領の病状が、世界的な関心を集めている。大統領選のさなかとあって、主治医が語る病状や治療の内容がどこまで正確なのかについても、さまざまな論評がなされている。そんな報道に接しながら、それでも筆者は米国の状況をある意味うらやましく思う。そうだ、これが「当たり前」なのだ。為政者が病に倒れた時、病状について医学的な立場からの見解が示され、公務の継続が可能かどうかの判断材料が広く提供されることが。

 もはや誰も関心を持っていないようだが、ここで改めて、この夏の日本の政界の喧騒(けんそう)を振り返ってみたい。あの「前首相の病気辞任劇」とは、一体何だったのか。(ジャーナリスト=尾中香尚里)

 ▽体調不良説と同時に振りまかれたイメージ

 安倍晋三前首相が辞意表明の記者会見を行ったのは、わずか1カ月あまり前の8月28日のことだった。会見で安倍氏は「国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった」と、時に目に涙を浮かべながら語った。

 その少し前から「安倍氏の体調不良」が、なぜか官邸サイドから盛んに喧伝されていた。通常は首相の健康不安を必死で打ち消すはずの官邸サイドからの情報発信が目立ったことは、ある意味異様だった。体調不良説と同時に「147日連続出勤」「少し休んでいただきたい」など「国民のために不眠不休で働く首相」イメージが振りまかれ始めた。

 28日の辞意表明会見では「秋から冬にかけての新型コロナ対策」も同時発表された。安倍氏の「置き土産」と言えた。対策がワクチン開発に頼った内容の薄いものだったことは、会見翌日の29日に公開した小欄「辞任会見で語ったコロナ対策は大丈夫なのか」で指摘した。内容はともかく、この対策発表が「最後までコロナ対策に尽力した首相」を演出する効果的な小道具になったのは確かだ。

 会見が終わった途端「安倍さんお疲れさま」と、まるで名アスリートの引退会見のような空気が出来上がった。直前まで3割を切る勢いだった内閣支持率は、多くの世論調査で10ポイント以上跳ね上がった。

 病気とあらば回復を願うしかない。しかし、そんな気持ちの一方で、どこか鼻白んでしまう思いを、筆者は抑えることができなかった。

 その安倍氏は今、国民の気持ちをくんで懸命に闘病しているのだろうか。

 ▽「点滴薬でほぼ回復」にわく疑問

 辞意表明からちょうど1カ月後の9月28日、安倍氏は東京都内で開かれた自身の出身派閥、細田派の政治資金パーティーに出席した。公の場への出席は、辞任後初めてだった。「一議員として菅(義偉)政権を支えながら、日本のために頑張りたい」などとあいさつし、自身の体調について「だいぶ薬が効き、回復しつつある」と述べた。

 報道によれば安倍氏の体調は、新しい点滴薬の効果でほぼ回復したとされる。「外国への特使などとして菅政権を支えるのでは」「趣味のゴルフに近く出掛ける計画も」。早くも公私ともども「辞任後の活動」が取りざたされている。

 ちょっと待ってほしい。

 安倍氏を「回復」に導いたというその点滴薬は、各国が開発に躍起となっている新型コロナウイルスのワクチンとは訳が違う。すでに存在していたと考えるのが自然だ。仮に辞任直前の時点でまだ使用可能でなかったとしても、使用できる見通しは立っていたのではないか。そんなに効果の高い新しい薬があるなら、辞任を避けるために、その薬の使用を含む積極的な治療はできなかったのだろうか。

 通常国会は終わったばかり。国会は事実上の夏休み状態だった(コロナ禍において会期延長をしなかったことの是非論は、とりあえずここでは置く)。落ち着いて治療するには良いタイミングだったはずだ。仮に治療薬の処方によって一時的に公務に支障が出る恐れがあったのなら、ためらうことなく臨時代理を置けば良かったのではないか。実際、麻生太郎副総理兼財務相は、それを安倍氏に進言したのではないのか。

 ▽実は首相として国会答弁できた?

 安倍氏が首相という公務を続けられる可能性について、あらゆる観点から検討した結果、どう考えても「国民の負託に自信を持って応えられない」(安倍氏)という判断があって辞任の決断に至ったのか。そう判断した客観的な医学的根拠は何だったのか。それを検証する十分な情報は、政権側からついぞ提示されなかった。

 安倍氏が辞任してから、国会はわずか3日間しか開かれていない。後任の菅義偉首相の所信表明演説すら、まだこの後半月以上先になる公算だ。そのこと自体、本来認められるものではないが、百歩譲ってこの状態を「もし安倍政権が続いていたら」に置き換えれば、現在「病から回復している」安倍氏は今、普通に首相として国会で答弁できたはずではないのか。

 「たられば」の話ではない。少なくとも外的状況が、それを疑わせている。

 日本は今コロナ禍の渦中にある。戦後最大級の国難である。確かに安倍氏も病に苦しんだかもしれない。だが、それに勝るとも劣らないほど、数多くの国民が直接の病によって、あるいは社会や経済が壊滅的な打撃を受けたことによって、そしてそれらに対する政府の対応の遅れによって苦しんでいる。夏以降の自殺者増加のニュースもたびたび聞かれるようになった。

 こんな状況下で首相の立場にある者は、よほどのことがない限り逃げることは許されない。どうしてもその任から離れるというなら、それ相応の理由がいる。一国のリーダーの進退の決断とは、それだけ重いものではないのか。安倍氏やその側近は、その重みを一体どれだけ感じていたのか。

 ▽結局投げ出し批判逃れ?

 一時の「安倍さんお疲れさま」機運が去った今、もう一度冷静にこの夏の安倍氏やその周りの動きを振り返ってみて、筆者はやはりこう疑わざるを得ない。

 安倍氏はコロナ問題において目に見える成果を誇示できず、国会で野党に対応のまずさを指摘されるばかりの状況に嫌気が差し、またも政権を投げ出したのではないのか。そして、第1次政権時のような「投げ出し批判」をかわすために、自らの持病を都合よく利用しただけではないのか。

 米国ではトランプ氏の退院をめぐり、主治医が記者会見で記者団からさまざまな質問をぶつけられている。発されている情報が正確かどうかは、ここでは脇に置く。トランプ氏が政治的アピールのために病状に関する情報をコントロールしていないかどうかを、報道を通じて国民がチェックする機会があるという、そのこと自体に意味があると考える。何しろ日本の場合、そんな機会すらなかったのだから。

 「病気だから」と首相を退任して、国会での答弁という「面倒」から逃れる。にもかかわらず外遊やゴルフといった「自分の好きなこと」には「回復したから」と喜々として取り組む。そんな立場の使い分けは、安倍氏には許されない。

 ▽参考人として国会に臨め

 安倍氏の退任から2日後の9月18日、家庭用磁気商品の「オーナー商法」を展開していた「ジャパンライフ」の元会長らが、詐欺容疑で一斉に逮捕された。元会長が、首相当時の安倍氏が主催する「桜を見る会」に招かれたことを顧客勧誘に使ったことが問題化したのは記憶に新しい。発足したばかりの菅政権を揺るがしている「日本学術会議」の新会員候補任命拒否をめぐる問題でも、政府が任命前の選考過程にかかわっていたことは、安倍政権当時からあったことが明らかになりつつある。

 「病気が回復した」と言うのなら、安倍氏は外遊よりもゴルフよりもまず、参考人として国会に臨むべきだ。語らなければならないテーマは、山のようにあるはずだ。

 ここまで書き上げたところで、小さなニュースが一つ飛び込んできた。安倍氏が6日夜、自民党の二階俊博幹事長や岸田文雄前政調会長らと、都内の中国料理店で会食したという。二階氏が企画した安倍氏の慰労会らしい。

 もうため息しか出ない。

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