柿渋にコロナ不活化させる効果、奈良県立医大が確認…カギは濃度とウイルスとの接触時間
2020年10月03日 読売新聞
柿渋に新型コロナウイルスを不活化させる効果があることを確認したと、奈良県立医科大の伊藤利洋教授(免疫学)と矢野寿一教授(微生物感染症学)の研究チームが発表した。基礎的な研究の段階だが、アメやガムのような食品に仕上げることも想定している。
発表によると、試験管内でウイルスと唾液を混ぜて人の口腔(こうくう)内と似た環境をつくり、そこに高純度で抽出した柿渋の主成分であるカキタンニンを加え、10分後に感染力のあるウイルスの量を測定した。その結果、1万分の1以下までウイルスの量を減少させた。カキタンニンを希釈すると、効果が薄れることも確認できた。
柿渋は古くから防腐や防水効果のある塗料として使われてきた。カキタンニンは、インフルエンザウイルスを不活化させる効果もすでに確認されている。ウイルスの表面のたんぱく質にカキタンニンが付着することで、感染力をなくし、体内の細胞への侵入を防ぐ仕組みだ。新型コロナウイルスでも同じ要因が推測されるという。
伊藤教授らは、不活化させるにはカキタンニンの濃度とウイルスとの接触時間が重要であると指摘。すでにカキタンニンを含むサプリメントなどが市販されているが、既製品を食べるだけでは、ウイルスを減らすことは期待できないとしている。
伊藤教授は「効果は証明された。多くの人に還元するため、適切な濃度やウイルスとの接
時間を検証していきたい」と述べた。