ねぇ、やっぱりあそこへ帰りましょう。
私たちが笑顔で暮らしていたあの頃、あの場所へ。
小さいけど花の咲く庭。
家の前から海まで続く道。二人で暮らすにはちょうどいいレンガの建物。
花が咲いたら二人で笑って。
夕方にはいつも家の前の道を海まで一緒に散歩した。
あのレンガのわが家へ。
あの頃の私たちにはいつも笑顔があった。
とてもおだやかな会話や笑えるような出来事がたくさんあった。
それは今に比べたら、ほんとにささやかな小さな生活だったかもしれないけど、それでも今の私たちより喜びや楽しみがたくさんあった。
いつも一緒でいられたし、いつもおだやかでいられたじゃない?
ねぇ、あそこへ帰ることは考えられないの?
あそこへ帰ることすら考えられないなにかを、あなたは背負い込んでしまったの?
私は帰りたいわ。あの頃、あの場所に。
あの頃にはたくさんあったものが、今はひとつひとつなくなっていくのがとてもつらい。
あの頃には自然と持っていたものを、今はそれを持っていたことすら忘れてしまうような、そんな毎日にはもううんざり。
私たちにはあそこが一番居心地がよかったのよ。
あそこが私たちの居場所だったの。
ねぇ、ちょっと力を抜いて考えてみてよ。
心の中に残っている、あの頃のことを思い出してみて。
あの頃の私たちがなにを思い、なにを大切にしていたかを。
時の流れとともに得るものと失うものが変化していくなかで、私たちが自然と手放していたものたちを。
それは今私たちが本当に必要なものなんじゃないの?
ねぇ、あそこへ帰りましょう。
私たちが笑顔で暮らしていたあの頃、あの場所へ。
あの頃と同じになるのはもうムリかもしれないけど、でも、きっとあの頃と同じような気持ちには戻っていける。
小さいけど花の咲く庭。
家の前から海まで続く道。二人で暮らすにはちょうどいい私たちのわが家へ。
やっぱりあそこが一番居心地のいい私たちの居場所なのよ。
やっぱりあそこが一番自然で、いつもおだやかに過ごしていける、私たちの場所なのよ。