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-空から見るからこそ見えてくるものがある-

関東の空を飛ぶ (1) - 鹿島灘

2009-10-03 | 関東
茨城県東南部、約70kmに亘ってゆるやかな美しい曲線をなす「鹿島灘」。

鹿島灘は、茨城県大洗岬から千葉県犬吠埼までの太平洋沿岸海域をいう。
海底地形は海岸線に並行して広大な大陸棚が続き、大陸棚斜面も緩やかである。

海流は、夏は黒潮(暖流)、冬は親潮(寒流)が流れる寒暖両流のぶつかりあう潮目となるため、波浪高く帆船時代は航行困難な難所であった(蝦夷を目指して品川を出港した、榎本武揚率いる「開陽丸」を含む8隻の旧幕府艦隊が、その途中、鹿島灘沖で大暴風雨に遭い多大な打撃を受けたことは有名である)。

しかし、これが霞ヶ浦や利根川を利用する常陸の内陸水運を発達させた原因となる。
寒暖両流の存在は好漁場をつくり、漁業が盛んで、沿岸の久慈、大洗、波崎、千葉県銚子などの漁港を発展させた。

海岸線は豊かな自然環境を有する美しい砂浜海岸であったが、1980年前後を境に急速に侵食が顕在化し、一部では砂浜の消失により護岸の倒壊や背後の住宅地への越波被害が発生する事態となったため、この長大な砂浜を可能な限り自然に近い姿で残すため、全国に先駆けて「ヘッドランド工法」を採用した。ヘッドランド計画は、約70kmの海岸線に1km間隔で40基の人工岬ヘッドランドを設置し、砂の移動を制御しながら、砂浜を安定化させるもの。

手前は、那珂川水系の「涸沼(ひぬま)」。海水と淡水が混じる汽水湖で、1971年に涸沼のほとりで発見された小形のトンボ、ヒヌマイトトンボは、日本の特産種として有名。