ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

じり貧だと思うとき

2010-04-03 13:37:42 | Weblog
パソコンやインターネット上で使うソフトを新しいものに切り替えると、必ず不具合が出る。
作っている人は、別にいい加減な気持ちでアップしたのではなくて、
これだけ多種多様で複雑、相互依存型になっているからしょうがない。
人間関係が大きくなれば、それだけ予期しなかったトラブルが起きるのと同じだ。

ただ、私が仕事をしながら「じり貧」感を覚えるようになったのは、
通信とソフトが飛躍的に進歩していることに、とても関係があると思っている。

例えば、同じ文字原稿でも、印刷物となるものに比べて、
ネット上では、本文上の誤字誤植の変更が容易だし、
後から図版や相互リンクを貼ったり、お客さんの反響も追加していける。
総合的には商品を育てて行くことができる。

でも、こういったサービスの大半は、すぐ収入につながる、ということも少ないので、
一度出来上がったものを、ずっとずっとメンテナンスする、という心の負担だけが、
よりクローズアップされて個人の業務上に残ることになる。

むかしは納品と請求書のタイミングがあっていた。
いまは保守費として請求はできるけれども、
このご時世なので、メンテナンスにそんなに予算はさけないし、
どこまでが納品時に回避すべきトラブルだったのかも判定が難しく、
自然と担当者任せになりがちだと思う。

それに、ずっとずるずるとつき合っていくと思うと、
そのぶん「出来上がった!」という達成感も少なくなり、
次のことを考えていても、つねに前のメンテナンスが頭の一部に残る。

以前なら、メンテナンスの内容は重版時までためておけたのに、
ネットはいつでも更新できると思うと、いまやらなければならない気がして来る。
メンテナンスはお金にならないのに、お金を生み出しそうな次のこと、
つまり社会や会社に評価されそうな次のことをやろうとすると、足かせになる。

商品の品質管理は、少し前とは大きく意味合いが違っているのに、
これを実際にもつ価値と同じように評価するようには、おそらくならないだろう。
「やりっぱなし」が増えるのだろうなあ。
自分の仕事もそうなっているしな。