ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

フライングブラボー

2010-04-04 22:02:00 | Weblog
最近、クラシックコンサートに行かなくなった。

ふと今日、その理由に気がついた。
それは、曲が終わったすぐに「ブラボー」と叫びたがる人がいて、
その声ですっかり世界がくずれてしまうのが、興ざめだと強く思うようになったからだと。
それに、コンサート中に音を立てることに対して、むかしほど遠慮しなくなった人も多く、
全般として、公共マナーが落ちているように感じ、
高いお金を出してまで、生演奏を聴きに行きたいと思えなくなった。

先日、有名なテレビ番組で、
解説の人が、楽曲が終わってすぐの観客の「ブラボー」の声に対して、
「絶妙のタイミングだ」と言っていた。
収録の最後に、観客の声が入ってしまっていたもので、
どれだけその「ブラボー」のタイミングが早かったのか、わかるというものだ。
怒ってほしかった。

確かに、曲を熟知している人にとっては、そのタイミングでもいいのかもしれない。
でも、そこまで曲を把握していない私のような一般のファンにとっては、
「終わった」と頭で理解して、心で納得するまでに、もっと長い時間が必要だ。
最後の音が消えるかどうか、というタイミングで「ブラボー」と叫ばれると、
思わず「うるさい!」と叫びたくなる。
もし隣の人だったら、つねっているかもしれない。

終わってすぐの「ブラボー」は、「おれは、この曲を知ってるんだぜ!」という自己主張に近く、
まるで短距離走の一等賞を競っているかのようなもので、
それを音楽を聞く場に持ち込まれるのは、まったく迷惑なことだと思う。
しかも、フライングブラボーをするためにコンサート会場に足を運ぶ、独特なファンもいるらしい。
そういう人は、ぜひサッカーのゴール裏でフラッグを振るほうに転向してほしいと思う。

ということで、クラシックファンがコンサート会場から遠のいていることも、
ぜひ主催者側は知ってほしいし、みんなで聴く人のマナーを考える機会が増えるといいな、とも思う。