つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

さらば、母校よ。~旧・津幡小学校校舎その7。

2011年05月11日 09時12分05秒 | さらば、母校よ。
シリーズ母校への惜別。
「今日の一枚」は、音楽室だ。

元来、手先が器用でない僕は、楽器の演奏が苦手である。
小学生必須のリコーダー演奏すら、ままならなかった。
どの穴を抑えれば、どの音が鳴るのか。
頭では分かっていても、スムーズに指を動かす事が出来ない。
そんなレベルだから、楽器を使った授業には、とても苦慮したのを覚えている。
ソロならまだいい。 たとえ失敗しても、恥をかくのは自分独り。
しかし、チームとなると、責任の重みが違う。
他人に迷惑をかけてしまうのは、何とも心苦しい。

あれは、五年生だっただろうか…
恐れていた少人数編成のグループ演奏が行われる事になった。
しぶしぶ選んだのは「木琴」。
叶うなら「鈴」とか「シンバル」など、
出番の少なそうな担当になりたかったが、
アンサンブルには含まれていない。
「リコーダー」や「ピアニカ」、「オルガン」といった、
主旋律パートには立候補できない。
他の選択肢はなかったのである。 …苦闘のゴングがなった。

課題曲が何だったのかは定かではないが、
音符など読めるはずもなく、とにかく丸暗記。
必死に覚えた。 何度も練習を繰り返した。
つまずき、引っ掛かり、冷や汗をかきながら、何度も、何度も、何度も。

迎えた本番当日、ついに演奏がスタート。
遅れるな!
間違えるな!
そう自分に言い聞かせながら、必死でメロディに食らいついた。
音楽なのに「音を楽しむ」余裕など皆無。
まさに緊張のステージである。

…そして、完奏。
何とか弾き切った。
確か、一度だけ間違えたはずだが、最後までやり遂げた。
大きなため息をついた後、ドヤ顔で視線を上げると、
壁に張られた音楽家の肖像が、微笑んだ様に思えた。

 
コメント
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