雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

C2 SSの想い出

2024-06-12 05:11:25 | カワサキ単車の昔話
 
★ ずっと昔のことだが、昭和42年・1967年のことである。
 私は仙台事務所長として初めて営業第1線を担当することになったのである。
 ホントウか?と思われるかと思うが、
 当時は東北6県がカワサキの最大市場であったし、
 岩手カワサキが全国販売代理店の中で販売台数TOPを何年も続けていたのである。
 そんな東北市場の代理店から仙台に事務所をと言う要望が出て、
 新しく事務所を創ることになったのである。

 まだ小型実用車全盛の時代でアメリカ市場ではA1やマッハなどが販売主力だったが、国内ではまだあまり売れなかった時代に、
 カワサキとしては初の国内向けスポーツタイプ車として発売されたのが『120ccC2SS』でこんなクルマだった。



       



 モトクロスの盛んな東北では結構売れたのだが、
全国的には期待どうりの販売には至らずに、明石工場には相当の在庫が残っていて
これを東北で何とか売れないか』と仰るのである。
 ちょっと条件を付けて『セリアーニタイプのフロントフォークに改造してくれたら200台は引き受けましょう』ということにしたのである。
 
そんなことで特別仕様の東北タイプのC2SSが200台造られたのだが、
まずフロントフォークを外す作業からスタートしたので、
明石工場では前代未聞のラインを逆に回すことになったらしいのである。
ご依頼の『200台』は特別仕様であったこともあってすぐ売れたのだが、
明石サイドでは『もう200台』と仰るものだから、さらに200台もお受けして何とかしたのである。
そうすると『あと200台ほどで、工場在庫は無くなるから』と言われて、とうとう計600台を引き受けたのだが、最後の200台は捌ききれずに、各代理店の在庫になってそれをさばくのに大変だったのである。
 それにしても今では考えられないほど東北6県の代理店は力があったのである。

C2SSのセリアーニタイプのマシンは実はモトクロス用に、
 レース職場の松尾勇さんに頼んで作って貰っていたので、
 セリアーニタイプのフロントフォークが付くことは解っていたのである。
 当時東北は全国でも一番モトクロスレースが盛んで、
 そんなことでC2SSは非常によく売れたのである。


 これは何年か後に市販レーサーとして販売されたC2SSモトクロッサーだが、
 これは東北でC2SSのモトクロッサーに改造して、レースに出ていて好評だったので、
 メーカーは市販レーサーを創ったのだと思う。
 これにはセリアーニタイプのフロントフォークが付いている。

 
  



★私は東北に来る前は広告宣伝課長で、
 このC2SSのカタログが最後の作なのである。
 そんなご縁もあった懐かしいC2SSなのである。


  

  
 
 同時に『レース担当』だったので
 当時東北はレースが盛んだったこともあって、
 山本隆・歳森康師・岡部能夫・星野一義などファクトリーライダーたちがよく東北のレースに来てくれていた時代で、
 いろんな意味で『私はツイていた』と思うのである。
 でも、残念ながら山本・歳森・岡部は逝ってしまってもうこの世にはいない。

 人間、『ツキ』があるものだが、
 私がその後も、引退した現在も『人一倍いいツキ』を持っていると思っていて、
 そんなことで『いい人生』だったと思っている。


  
       
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