フェロー諸島で一番多く見かけ,心に残ったのが羊です。今日はアイスランドとフェロー諸島、そしてスコットランドの羊たちについて写真を見ていただきたいと思います。
アイスランドを廻ったのが6月末から7月初め夏至を過ぎた頃ですから夏といっても英国でも寒い頃です。ここの子羊は多分生後2-3ヶ月、まだ母羊の傍にべったりで片時も離れません。英国の羊の親子はこの時期母親は毛を刈られてすっきりした夏姿です。
写真1,2の羊はアイスランドの羊ですが、まだまだ寒いアイスランドでは何時この毛が刈られるのかがわかりません。
インターネットで調べて見ましたら、アイスランドの羊は多産で一回に2頭から4頭の子供を生み、子羊は生後6ヶ月から生殖可能だそう、まるで英国の12歳ぐらいの女の子が出産しているようなものです。
アイスランドのスーパーマーケットで毛糸を買いました(写真3)。セーターは直接肌に当たるところがシカシカするので、自分で編んでみようと思ったのです。これらの毛糸は重さの量り売りで、1200g買って19ポンドぐらいでした。
どうしてこの毛糸をお見せするかというと、これらの毛糸には撚りがかかっていないのです。アイスランドの羊は寒さと雨から身を守るため、長さ20センチにもなる毛足だそうで、毛糸は長い毛が固まっているだけ、少しでも強く引っ張るとスーと先が薄くなり切れてしまいます。
それでアイスランドの手編みのセーターは2本どりや3本どりで編まれています。
此れは余談ですが暖かい土地の羊ほど毛足が短くやわらかく、上等のウールの生地が創られます。
フェロー諸島は島のほとんどが牧場、で何処へ行っても羊でいっぱいです。写真5、6 の羊は立派な角で種類が違うのかも知れません。またなぜか人なつこい羊たちで写真を撮っていると、我も、我もと言うように全部集まってきて”わいわいがやがや”とうるさいこと。
極め付きが、写真7,8のまるでぼろをまとった乞食のよう、彼らを見た後は英国のきれいな真っ白の羊は貴族の奥方のように気品があります。
この乞食羊も良く見れば、古い毛の下に新しく夏用の毛が生えて、虫や蛇の脱皮とおなじような衣替えの真っ最中なのです。
このように寒い国では春先に毛を刈り取ると羊は寒さで病死するのでしょう。自然に落ちた毛を捜し求めて4人の男性が、急なスロープの牧場を歩いていました。
只残念なことに、フェロー諸島ではたったの3日間の滞在で、それもお店の閉まるウイークエンドでは、どんな毛糸を売っているのかも判りませんでした。
写真9の羊はもう夏服に替わってすっきりしています。あたりの草原にはあちこち古い抜け毛の塊が落ちていました。写真10は生後3-4ヶ月と思える子羊で、まるでアラブの男性のあごひげのような模様が面白く、カメラを向けたら母羊のおなかの下へもぐりこんでゆきました。マザーコンの男の子。
この写真11から以下の羊は昨年7月にスコットランドで写したものです。羊には30-40種くらい毛並みや、サイズの違いが有り又異なる気候でウールの硬さや長さも違ってきます。最近ではナチュラルカラーが復活し、スコットランドで黒羊から獲った黒い毛糸やブラウン、グレイなど染めていない自然の毛糸を買ってきました。
写真14はバリカンの後も鮮やかに残っている毛を刈られた後の羊です。最近の養羊農家ではウール産業が下火のため,一歳までの羊はラムと呼ばれ、食肉用に出荷されます。マトンは一歳以上の羊で値段も下がります。