各国の経済主権を侵害してまでグローバルスタンダードに従うことを強要するようになったWTOの発足後、国際協調は損なわれていった。二国間FTAが横行し、「無差別」で「多角主義」というGATT時代の原則は崩れていき、ついには排外主義が台頭するようになった。緩やかなGATT時代の貿易の枠組みで基本的に問題はなかった。関税は、国家の財源として、社会を安定化させるため、貿易不均衡を調整するため、必要なものであった。各国の関税自主権をはく奪し、例外なき関税化と関税率の削減を強要するようになったWTOの発足後、国際協調は損なわれた。中庸が失われたからである。
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日本にとってトランプ政権誕生の最大のメリットは、穏やかに離米の途を歩み始める条件が生まれたことである。しかるに安倍政権は、日米安保に消極的なトランプから尖閣防衛を引き出すために、より過酷な経済要求を呑み続けようとするのみである。先日も、トランプ政権のティラーソン新国務長官が来日し、尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲とすることを確約していったが、日本はその発言を引き出すことを最大の目標として、その対価として経済問題で次々に生贄を差し出そうとしている。そもそも、尖閣と日本の水道とか、尖閣と日本農業とか、取引材料として同じ次元で扱うべき課題であないことは明らかである。尖閣を質に取られて、それこそ日本国民の生活が根底的に破壊されるようなことを許してしまってよいわけがない。
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