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歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』第二部「一、春の寿(ハルノコトブキ)〈三番叟〉〈萬歳〉」、「二、邯鄲(カンタン)枕物語、新玉の笑いで寿ぐ艪清の夢(ロセイノユメ)」(2022/1/10)

2022-01-11 11:50:47 | Weblog
(一)春の寿(ハルノコトブキ):新年に相応しい祝祭的な舞踊2題!古来より災いを鎮め、平安を祈念する儀式舞踊の〈三番叟〉と人々に幸せをもたらす〈萬歳〉!
〈三番叟〉
 翁(梅玉)と千歳(チトセ)(魁春)が天下泰平、国土安穏を祈念して舞う。続いて三番叟(サンバンソウ)(芝翫)が五穀豊穣を願う“揉(モミ)の段”、稲穂に見立てた鈴を手に舞う“鈴の段”など躍動感あふれる踊りを見せる。
〈萬歳〉
 春を迎えた往来へ、連れ立って来たのは萬歳(又五郎)と才造(鴈治郎)。商売繁盛を祈念し、町の様子や風俗を軽妙かつ賑やかに踊り、人々に福を招く。

(二)「邯鄲(カンタン)枕物語」、新玉の笑いで寿ぐ「艪清の夢」(ロセイノユメ)!
〈第一場 池之端待合の場〉
・艪屋清吉(幸四郎)と女房おちょう(孝太郎)夫婦は、借金を抱えて上野池の端の待合茶屋へ引っ越してくる。米屋・八百屋・貸物屋が借金の取り立てに来る。事情を聞いた家主の六右衛門(歌六)が追い払う。
・艪屋清吉は恩ある旧主のために「聖徳太子の画賛が記された宝船の一軸」を探していた。それを発見したが質屋から請け出すには100両がいる。その金子を工面するため苦労していた。
・一計を案じ、艪屋清吉が女房を使って侍から金を巻き上げることを企む。さっそく、そこへやって来た横島伴蔵(錦之助)を騙す。伴蔵が慌てて荷物を取り残し逃げる。その荷物は実は伴蔵が質屋から引き出した「宝船の一軸」だった。(清吉はそのことを知らない。)女房おちょうが飯を炊き準備する間、艪屋清吉は「宝船の一軸」が入った荷物を枕に、ひと眠りする。
〈第二場 鶴の池座敷の場〉
・主人公の清吉は、夢の中で大坂の豪商、鶴の池善右衛門の別邸にいる。番頭作左衛門(友右衛門)が現れ、主人善右衛門(歌六)が三年前、ある絵姿を見て両魂病(昼は男、夜は女になる病気)になったと清吉に言う。
・ところが清吉がその絵姿にそっくりなので、主人善右衛門は、清吉に鶴の池の主人になって欲しいと言う。そして清吉に1年の小遣いとして12万両を与える。
・そこへ内裏からの上使として安芸の内侍(高麗蔵)が現れる。そして清吉を内裏に伴った上、大臣に任ずる旨を告げる。清吉が大臣になるのは無理だと答える。
・《現実とあべこべになった夢の世界①》すると安芸の内侍が清吉に「町人の身分のままでいたいなら、月に1万両の金子を遣うように」と命じる。清吉は遣い道を考える。
〈第三場 街道の場〉
・《あべこべの夢の世界②》街道で清吉を、盗賊の唯九郎(錦之助)が襲う。清吉が丸裸になり金もすべて渡そうとすると、唯九郎がどてらを脱いで清吉に着せ、さらに400両を渡した。唯九郎は追剥ではなく、金品を押し付ける盗賊だった。
・《あべこべの夢の世界③》金が増えてしまった清吉は、400両を路上において立ち去ろうとする。すると金を捨てようとする者を取り締まる「捨金番」の福六(吉之丞)が「捨てるな」と言う。清吉の金は減らない。
・《あべこべの夢の世界④》そこへ小金餅を売る杵造(廣太郎)とお臼(壱太郎)の夫婦がやって来る。餅を食べて清吉が金を払おうとすると「払い逃げ」だと咎められる。金を使おうとしても清吉は使えない。
〈第四場 新町吉田屋の場〉
・《あべこべの夢の世界⑤》金を使おうと新町の廓の吉田屋にきた清吉。花魁の梅が枝(孝太郎)も金に責められ苦しんでおり、清吉も自分も金に苦労している(金を誰も受け取ってくれないので使えない、減らない)身の上なので、「ふたりで心中しよう」と脇差を手に取る。
〈第五場 池之端待合の場〉
さて女房おちょうが飯を炊き終わり、食事の用意が出来たと清吉を起こす。今までの出来事は「現実とあべこべになった夢の世界」だった。そこへ横島伴蔵が置き忘れた荷物を取り戻そうと戻って来る。清吉と争ううちに、箱の封印が解け、中から「宝船の一軸」が出てくる。伴蔵は旧主に対し仇なす者であることも露見する。清吉はめでたく恩ある旧主のために「聖徳太子の画賛が記された宝船の一軸」を取り戻すことができた。


★邯鄲枕物語

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