ACばかりだったテレビCMが復活し始めている。そんな中、話題なのがサントリーのCM。和田アキ子、矢沢永吉、松田聖子、加藤茶、高島彩、村田兆治などジャンルを超えた総勢71人の有名人が坂本九の「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」をリレー形式で歌いつないでいるあのCMだ。
●ノーギャラ出演
このCMは大震災を受けて制作されたもの。しかし、なぜどちらも坂本九だったのか。「反響は大きいです」というサントリーではこう言う。
「坂本九さんの曲を選んだ大きな理由は、日本中で幅広い世代に愛されている名曲だということです。希望の歌をバトンリレーのような形で歌い継ぎ、たくさんの人の絆を表現するにはぴったりの曲だと思います。人選ではもともとサントリーのCMに出演している人を中心に声をかけました。皆さんにはご厚意(ノーギャラ)で出演して頂いています」(広報部)
音楽評論家の富澤一誠氏はこう言う。
「僕も震災後にラジオ番組でエールソングを流す時は選曲を考えました。結局、槇原敬之の『どんなときも。』と松山千春の『大空と大地の中で』を選んだのですが……。でも、もし演歌、歌謡曲、フォーク、Jポップの垣根を越えて、老若男女を問わず幅広い年齢層が知っている曲で、しかも元気が出る曲ということになると、『上を向いて――』と『見上げて――』しかないと思います。どちらもうつむくのではなく、上を向こうというメッセージソング。CMはセンスのいい仕上がりになっています」
九ちゃんの歌でホッとすることは確かだ。