7月に入り夏本番間近だが、今年は台風がまだ1個しか発生していない。気象庁によると、6月末現在で台風が1個以下だったのは平成10年以来12年ぶりで、昭和26年の統計開始以降、ほかには3回(昭和48、50、58年)あるだけだ。
同庁は、インド洋の海面水温が高いことが原因の可能性があるとみており、北日本を中心とした冷夏など天候不順につながる恐れもあるとしている。
今年の台風は、3月24日に発生した1号のみ。6月末までの発生数の平年値は4・5個。
気象庁によると、今年はインド洋の海面水温が高く、大気の対流活動が活発化。逆にフィリピン近海は対流活動が弱く、台風が発生しにくい状態になっている。インド洋で上昇気流が盛んになる一方、フィリピン付近では下降気流が強まっているためとみられる。
こうした状況は「エルニーニョ現象」終息直後によくみられるという。今年は春にエルニーニョが終息したばかりで、6月末までの台風が1個以下だった過去4回のうち、3回はエルニーニョが終息した年だった。さらにフィリピン付近の対流活動が不活発だと、台風が少ないだけでなく、太平洋高気圧の北への張り出しが弱まり、西日本は暑いが北日本は気温が低い「北冷西暑」パターンになりやすいという。
同様に台風が少なかった昭和58、平成10年夏は「北冷西暑」で、「大気の状況が今年と類似している」(気象庁気候情報課)という。