京今新在家西町おあふかあ二十九－五－十四

御苑の西にあるのは鋭利、浮くのは、小さな球形レンズが多い。
固定電話は堀川通り沿いに二十軒ほど。
レンズで、思考を遮二無二洗練する。
大抵は、金星から漂着。
存在しての提供機能とは、一切金星側には企図されてはいない。
何かの部品ですらなく、これは事故象限。
文字の拡大もせん。
レンズ下の物体やら映像を、拡散する。
この推移を以ってして、公家は遮二無二力の確保に勤しましめられおった。
彼らは月からの伝来物と思い込んどった。
例えば横幅は二・六糎、縦幅は四・七糎の楕円。
ケイ素製で、やや重い。

銀行は四条烏丸辺りに密集していた。
書面や行員の声色を通じ融通されていた、気運、意欲、許容事の量とは派手ではあるが、京の経済の動態の明瞭化や民生への公家の態度の指標には貢献しない。
勤めとるのは一人、または二人のみで仲間由紀恵を男版、三十五。
髪型は九、一分けで分け目の後半の線の左右は、前半の左右に上からのしかかっとるが、これは整髪料が故か否かを何と、自他をの理性に問わせん力そのものとして振る舞いゆくらしい。
髪型、これ笑徳への、への、のみたりゆきなん、らしき力そのもの、としてのみ、頭の上にのしかかりにある、自己への付随物。
肉体、物、理性、社会所属品目いずれか、を自己が問う際は、自己の根が主体。
京人は髪型にかなりの笑徳を浴びせかけてしまう文明気質にあった。
髪型の、分け目、これで京人は長時間ほくそ笑み続ける事、馬車の内、難波への五時間。
“あの輝く黄色い線、頭の上、絶対に午前、分けしめられている筈よとの至言への尽くしの姫役、絶望的当確度。
人様に会う為に頭に午前、輝き走り出したらしきあの線、ずっと真っ直ぐなままあたしの視界の中で右往左往していたわ。
左右の髪、整髪料埋まりは懸命に袴の礼装硬直ぶり。
それであなたの礼節態度そのものの表札と化したらしき眩しい黄色い線はあたしの視界の中で何を銀行で見せてくれようとしていたの。
結局は問屋の標準品格のガラス箱。
あなたの午前の殿、輝きの黄色い線はあたしの視界、ガラスの箱、標準品格の中にそうして納まっていったのね。
ああ、いちいちの至言。
輝きの黄色い線、右往左往、ガラス箱、あたしが座る馬車の内。
あたしの腹の失笑。
眩しいあなたの午前。
人に明かすのは失礼ね。
だから、あたしの内、ガラスの腹の内で笑い続けるのが妥当ね。”

四条烏丸から河原町御池までの間には、京人にとっても常に謎風体なる表玄関は開店中の土産物屋の建物が存在していた。
数は無数。
開いた玄関の中は丸通し見えで、便益の提供意思は皆無らしき謎の調度品が乱雑に座っている。
始めから倒れたがっている、五段程の階段形象、油は差された事の無いらしき電球を収めているガラス張りの箪笥、丸く球形に抉られ、うるしを塗布されている木材が畳の上に座っている様子が見える。
誰も番をしてはいない。
広さは四畳から六畳程度と狭い。
稀に三階建てで通常は一階建て。
とにかく、中に陳列中との流通待機待ちの物品とは一切無い。
開設者とは一切不在にして、京の経済への果敢、強欲眺望の試みを自認中との額、頭脳の学者すら、肉感の掌握をその単、ひとえの概観により避けしめられざるを得なかった。
名を冠せずのままのこれらの建物は、室町時代中期から特にここ四条、御池間に集中的に選んで立ち始めている。
建築家が一切の私的情を無視したまま、職能周辺の必要性に無機的に従いつつ立て続けたこれらは、京人の挨拶回り行為が密度に付随するわざとらしさを嫌う密度内の真剣な挨拶上の誠意を、厳正、誠実に外界析出せし後の、非世迷言がもたらしていた。
誰も口で謳わぬの狂言のセリフと、名無しの建物との関係を知りし者は一人として居なかった。
挨拶の目的は殆どが経済活動として銘打たれる。
挨拶の先の、誰ぞにより包まれの風呂敷の内、はしたなきの口動かしの前の八ツ橋を、挨拶の前の着物柄選びは、真剣、無言のまま厳正に避ける、との知的克明事をは、やはり京人は避けるが歴史の風呂敷の内の経済活動との八ツ橋の餡漏れ舐めの自認は、野暮、無意味舐めしめの空箪笥、明瞭なるを京の風呂敷の内、奥にて捉えしめすらしき。
建築業界が無機的に立てていく物件の中に、京人の社会動態の襟内の奥まで寒風を吹かしめる事、無制限回数を機能として、何となく概観されし物品群を搬入していくのは辺り、無作為挙手の卸屋、何らか業界、何となく概観しつつ。
物件が実際に機能を発揮しゆく起点とは、殆どが往来の京人の視野だった。
あそこ界隈、派手目さ懸命維持の暖簾揺らしの風にとってのくすぐられの脇の傍には、業界の実力者誰ぞ据え付けを渇望との派手目権力のかいな、今や揺れ動かずの落ち着きの慇懃文章刻印の礎石、誰もその透明さを追わずがにんやらり。
にんやらり、は自己の風流風体紋柄、との連続の派手目観念連結力、と他者の真面目礎石抱え徒労の日々の知性によって指摘され得なかったとして、既にあっさりと連結済みの連続観念は、一定期間、礎石刻印の人生の重要自戒を溶かそうとして振る舞うものだ、そして人間とはこの真逆の観念連結力は、柔和揺れの浴衣、雛の早足の足首を不必要に握り掴み、頭喰らわしめの握り飯とせんとする、二象限、いずれを人間とは丁寧に選んでおくべきか、との問いはいかなる無数象限の眺望力にとっての真に無謬、安泰の天幕の内で湧かしめらるるべきか、一連長ったらしい知的舞踊修練式目、への最短踏破力、揺れの浴衣の繊維の先の細き白い藻の先端への刻み理解。
これ、を、これの中のこれらを、無礼刻み理解せずのまま、容易実践済みとの、精妙自信、それが非、女子にして、非通常人との指摘が非無礼状態、にんやらり。
ある、事。
一、習熟必須事として、京人、四条、御池間の二十台女子は、誰の指南、知的啓蒙無きまま、にんやらりへの一体化を求しめる日々にあった。