前回の続き。
テレビ・大新聞は口裏を合わせたように自民党VS公明党の「軽減税率」対決を特集し、軽減税率によって6000億円減収になるからどうする、と大騒ぎ報道をした。
私は下手な芝居・デキレースを見せられている気分になったが、今日はそれを端的に言い表している意見を載せておく。
室井佑月氏・・・小説家・随筆家
10日放送の「ひるおび!」(TBS系)で「軽減税率」の話題が取り上げられた。
番組では、自民党は当初生鮮食品を中心にして2段階で加工食品にまで拡大することを目指していたが、同じ与党の公明党は、初めから加工食品にまで拡大すべきと主張していた。そして9日、安倍晋三首相は、財務省幹部と自民党幹部に『2017年4月当初から加工食品も対象にするよう伝えた』と説明。
これについて、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「公明党は年末の総選挙を軽減税率1本で戦っていて絶対に譲れない線があり、(安倍自民党政権としては)安保法制などで公明党に苦労をかけたので公明党の顔を立て、参議院選挙で協力してもらわなければならないからだ」と解説した。
この後、コメントを求められた室井佑月氏は、
「だからなんなのって感じですよ。」
と切り出した。
「よくやってくれたとも思わない。食べ物は消費税8%の現状維持で、ほかは10%に上がるだけでしょう?」
「騙されている感じがしますけどね。」
━━━━司会者「サービスな感じはしない?」
「全然しませんね。」
その後も室井氏は「軽減税率の恩恵を受けるわけじゃない気がしちゃうんですけど」と、「食品・加工食品の消費税8%は据え置いた状態で、軽減税率対象外のものが10%上がるだけだ。」と一貫して主張していた。
また、伊藤惇夫氏の解説の「今後の選挙を意識した政策」の話題に対しても「この政権は自分たちのことしか考えてない。」と、安倍政権に対して強く非難した。
今の消費税8%が2017年4月から生鮮食品・加工食品を除き10%に上がります。
という真実のテレビ・新聞報道は皆無。
植草一秀氏
論議すべきは軽減税率ではなく増税中止…植草一秀の知られざる真実
(内容要約)
軽減税率の報道が大々的に展開されているが、こんなことであなた(国民)は問題の本質を見誤ってはならない。
いま論議されていることは、現在の8%の消費税率を2017年4月に10%に引き上げる際に、一部品目に限って税率を8%に据え置くということである。
その8%に据え置く一部品目をどこまでにするか、などという話は、枝葉末節の論議だ。
財務省は消費税増税について提案するなら、その前に「天下り利権の縮小・根絶」について具体的な提案を示すべきである。
「我が身を切る改革」をやってから消費税増税の負担を求める、というのが最低限の条件であるだろう。
この点に頬かむりをして消費税大増税を規定路線であるかのように振る舞う財務省の基本姿勢・マスコミの報道姿勢を、主権者国民が糾弾する必要がある。
(参考資料)…植草氏の資料をグラフ化
上の割合変化をみても、富裕者の負担を徹底的に軽くして、中低所得者の負担を際限なく重くしているのが分かる。
そこで出てくる論議が軽減税率だが、所得の少ない人々の生活を真剣に考えるなら、生活必需品非課税の検討以外にあり得ない。
メディアが、
「10%を8%にするなどという些末な論議をするのではなく、生活必需品は無税・非課税にすることなどを検討するべきだ」
との報道を大々的に展開するのなら分かる。
それを、「軽減税率の適用範囲を生鮮食料品にするか、加工食品や外食にまで広げるのかについて、自民党と公明党の合意がなかなか成立しない」などという、些末な論議を延々と繰り広げている。
そもそも、いま論じるべきテーマは、2017年4月の消費税10%の中止もしくは延期である。
法人税が減税に次ぐ減税、消費税が増税に次ぐ増税、ということを、あなた(国民)は絶対に容認できないはずだからだ。
もう一度、おさらいのために消費税導入・増税と法人税減税の関係をグラフで見てもらう。
その前に頭に置いておいてもらいたいのは、消費税を初めて導入した時(消費税3%)も、消費税を5%に上げた時も、その理由は、
少子高齢化による社会保障の財源不足
であったこと。
消費税初導入(消費税3%徴収)の次の年、法人税減税を行ない、消費税5%に増税したその年と翌年に法人税減税を行なった。
その消費税の増収と法人税減税による減収のグラフ(下図)
この消費税増税による国庫増収と法人税減税による国庫減収を差し引きした差額のグラフ(下図)
消費税で増えるはずの国庫収入(折れ線部分)が法人税減税でほとんど消えてしまっている事が棒グラフで分かるだろう。
法人税減税でむしろ国庫減収となっている年も多く見られる。
さて、昨年4月(2014年4月)より消費税8%に増税されたが、その時の政府広報は、
さて、消費税8%が実施されてからの政府の対応は、
増額による増収分で、穴埋めのためかも知れないが1.6兆円が社会保障に使われたという情報があるが、消費減退を考慮しても5%→8%によって、5兆円~7.5兆円の国庫増が見込まれるので政府広報のように「全額」とは言えない。
また、2度あることは3度ある、の諺ではないが、軽減税率とそのための減収の財源は?の記事に埋もれて、国民に伝わってこない事実がある。
それは、軽減税率を生鮮食品だけでなく、加工食品にまで適用するという公明党案が通った、よかったよかった、とテレビ・大新聞が喧伝している時の日本経済新聞2015年12月11日一面の記事。
消費税8%になってからの消費税増税による増収と法人税減税による減収の関係の上に載せた図表の様なデータはまだ出て来ていないが、前二回のそれと同じ様な傾向の表になることは目に見えている。
最後に、山本太郎議員が永田町恐怖新聞で「日本の法人税が高すぎると言われているが、法人税には80もの抜け道がある。」と指摘している通りであることを、日刊ゲンダイの実績表(下図)を見て確認しておいて下さい。
新しい表もスキャンしてとってあったのだが、2013年3月の表しか見つからなかったので、その10位までを載せておく。確かこれより新しい表では「ソフトバンクは税を払っていない」との記事だったと記憶している。
こう書いてくると賢明な諸君には察して頂けると思うが、例えば、
■日本は法人税が高いのでグローバル経済の中に於ける国際競争力が殺がれる。
■日経の記事「法人税下げ、3年連続」で企業に投資・賃上げを促す。
等々、書きたいことが頭の中に山ほど湧いてくるのだが、今日はここで筆を置く、またね。
テレビ・大新聞は口裏を合わせたように自民党VS公明党の「軽減税率」対決を特集し、軽減税率によって6000億円減収になるからどうする、と大騒ぎ報道をした。
私は下手な芝居・デキレースを見せられている気分になったが、今日はそれを端的に言い表している意見を載せておく。
室井佑月氏・・・小説家・随筆家
10日放送の「ひるおび!」(TBS系)で「軽減税率」の話題が取り上げられた。
番組では、自民党は当初生鮮食品を中心にして2段階で加工食品にまで拡大することを目指していたが、同じ与党の公明党は、初めから加工食品にまで拡大すべきと主張していた。そして9日、安倍晋三首相は、財務省幹部と自民党幹部に『2017年4月当初から加工食品も対象にするよう伝えた』と説明。
これについて、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「公明党は年末の総選挙を軽減税率1本で戦っていて絶対に譲れない線があり、(安倍自民党政権としては)安保法制などで公明党に苦労をかけたので公明党の顔を立て、参議院選挙で協力してもらわなければならないからだ」と解説した。
この後、コメントを求められた室井佑月氏は、
「だからなんなのって感じですよ。」
と切り出した。
「よくやってくれたとも思わない。食べ物は消費税8%の現状維持で、ほかは10%に上がるだけでしょう?」
「騙されている感じがしますけどね。」
━━━━司会者「サービスな感じはしない?」
「全然しませんね。」
その後も室井氏は「軽減税率の恩恵を受けるわけじゃない気がしちゃうんですけど」と、「食品・加工食品の消費税8%は据え置いた状態で、軽減税率対象外のものが10%上がるだけだ。」と一貫して主張していた。
また、伊藤惇夫氏の解説の「今後の選挙を意識した政策」の話題に対しても「この政権は自分たちのことしか考えてない。」と、安倍政権に対して強く非難した。
今の消費税8%が2017年4月から生鮮食品・加工食品を除き10%に上がります。
という真実のテレビ・新聞報道は皆無。
植草一秀氏
論議すべきは軽減税率ではなく増税中止…植草一秀の知られざる真実
(内容要約)
軽減税率の報道が大々的に展開されているが、こんなことであなた(国民)は問題の本質を見誤ってはならない。
いま論議されていることは、現在の8%の消費税率を2017年4月に10%に引き上げる際に、一部品目に限って税率を8%に据え置くということである。
その8%に据え置く一部品目をどこまでにするか、などという話は、枝葉末節の論議だ。
財務省は消費税増税について提案するなら、その前に「天下り利権の縮小・根絶」について具体的な提案を示すべきである。
「我が身を切る改革」をやってから消費税増税の負担を求める、というのが最低限の条件であるだろう。
この点に頬かむりをして消費税大増税を規定路線であるかのように振る舞う財務省の基本姿勢・マスコミの報道姿勢を、主権者国民が糾弾する必要がある。
(参考資料)…植草氏の資料をグラフ化
上の割合変化をみても、富裕者の負担を徹底的に軽くして、中低所得者の負担を際限なく重くしているのが分かる。
そこで出てくる論議が軽減税率だが、所得の少ない人々の生活を真剣に考えるなら、生活必需品非課税の検討以外にあり得ない。
メディアが、
「10%を8%にするなどという些末な論議をするのではなく、生活必需品は無税・非課税にすることなどを検討するべきだ」
との報道を大々的に展開するのなら分かる。
それを、「軽減税率の適用範囲を生鮮食料品にするか、加工食品や外食にまで広げるのかについて、自民党と公明党の合意がなかなか成立しない」などという、些末な論議を延々と繰り広げている。
そもそも、いま論じるべきテーマは、2017年4月の消費税10%の中止もしくは延期である。
法人税が減税に次ぐ減税、消費税が増税に次ぐ増税、ということを、あなた(国民)は絶対に容認できないはずだからだ。
もう一度、おさらいのために消費税導入・増税と法人税減税の関係をグラフで見てもらう。
その前に頭に置いておいてもらいたいのは、消費税を初めて導入した時(消費税3%)も、消費税を5%に上げた時も、その理由は、
少子高齢化による社会保障の財源不足
であったこと。
消費税初導入(消費税3%徴収)の次の年、法人税減税を行ない、消費税5%に増税したその年と翌年に法人税減税を行なった。
その消費税の増収と法人税減税による減収のグラフ(下図)
この消費税増税による国庫増収と法人税減税による国庫減収を差し引きした差額のグラフ(下図)
消費税で増えるはずの国庫収入(折れ線部分)が法人税減税でほとんど消えてしまっている事が棒グラフで分かるだろう。
法人税減税でむしろ国庫減収となっている年も多く見られる。
さて、昨年4月(2014年4月)より消費税8%に増税されたが、その時の政府広報は、
さて、消費税8%が実施されてからの政府の対応は、
増額による増収分で、穴埋めのためかも知れないが1.6兆円が社会保障に使われたという情報があるが、消費減退を考慮しても5%→8%によって、5兆円~7.5兆円の国庫増が見込まれるので政府広報のように「全額」とは言えない。
また、2度あることは3度ある、の諺ではないが、軽減税率とそのための減収の財源は?の記事に埋もれて、国民に伝わってこない事実がある。
それは、軽減税率を生鮮食品だけでなく、加工食品にまで適用するという公明党案が通った、よかったよかった、とテレビ・大新聞が喧伝している時の日本経済新聞2015年12月11日一面の記事。
消費税8%になってからの消費税増税による増収と法人税減税による減収の関係の上に載せた図表の様なデータはまだ出て来ていないが、前二回のそれと同じ様な傾向の表になることは目に見えている。
最後に、山本太郎議員が永田町恐怖新聞で「日本の法人税が高すぎると言われているが、法人税には80もの抜け道がある。」と指摘している通りであることを、日刊ゲンダイの実績表(下図)を見て確認しておいて下さい。
新しい表もスキャンしてとってあったのだが、2013年3月の表しか見つからなかったので、その10位までを載せておく。確かこれより新しい表では「ソフトバンクは税を払っていない」との記事だったと記憶している。
こう書いてくると賢明な諸君には察して頂けると思うが、例えば、
■日本は法人税が高いのでグローバル経済の中に於ける国際競争力が殺がれる。
■日経の記事「法人税下げ、3年連続」で企業に投資・賃上げを促す。
等々、書きたいことが頭の中に山ほど湧いてくるのだが、今日はここで筆を置く、またね。