最近は「法の精神」が歪められて来ている。
人は自分が生きていくために、他人との共存を考え、法(ルール)をつくり、協同作業や役割分担をして社会生活を営んでいる。
この「自分のため」「皆のため」の法が、往々にして権力者の都合の良いように作られ、適用されることが起こる。
ヤメ蚊さんは、多くのマスメディアや国民や裁判所の法(刑法)に対する考え方が根本的に間違っていると指摘している。
(以下、ヤメ蚊さんのブログを引用)
■刑法は国民の行動の自由を保障するもの
◎刑法は、国家権力が強制的手段をもって取り締まる範囲を限定するもの。
刑法というのは、国家権力が身体的拘束を伴うような強制的手段をもって取り締まる範囲を限定するものだ。
取り締まる範囲を明らかにすることで、市民の行動の自由を保障しているわけだ。
つまり、刑法で規定された犯罪類型に当たる行為をしなければ、逮捕されたり、起訴されたりすることはない…ということだ。
(ところが最近では)国家が市民の自由を保障するためにある刑法を利用して、国家が自分に敵対する者を弾圧している。…引用終り
最近は政府・マスメディアの言う事やることがウソだらけで、以前の私のブログ「最近の嘘ことば」に書き切れなかった言葉が、下記の法律に一杯見受けられる。
■『日本をだめにする40の悪法』合同出版社
<1> 統制国家をめざす悪法~いつのまにか国民をコントロールしている
1 共謀罪
2 組織犯罪対策3法(盗聴法,組織犯罪処罰法,刑事訴訟法)
3 ピッキング防止法
4 改定・住民基本台帳法
5 改定・入管法
6 心神喪失者医療観察法
7 ホームレス自立支援法
8 テロ対策基本法
<2> 思想信条の統制やメディア規制をうながす悪法
9 盗聴法
10 個人情報保護法
11 青少年健全育成基本法
12 人権擁護法
13 教育振興基本計画
14 児童ポルノ禁止法
<3> 軍事国家化をめざす悪法~テロ対策は隠れみの
15 有事3法(安全保障会議設置法,武力攻撃事態法,自衛隊法)
16 テロ対策特措法
17 防衛省昇格法
18 海上保安庁法
19 米軍行動円滑化法
20 イラク特措法
21 周辺事態法
22 米軍再編法
<4> 国民の責務を強調する悪法~行政の責任がいつのまにか自己責任に
23 健康増進法
24 少子化社会対策基本法
25 国民保護法
26 生活安全条例
27 裁判員制度
<5> 命と暮らしを破壊する悪法~格差を広げ弱者いじめにつながる
28 医療制度改革法
29 改定・介護保険法
30 障害者自立支援法
31 ホワイトカラー・エグゼンプション
32 改定・労働者派遣法
33 消費税率改定
34 郵政民営化法
35 生活保護制度の改定
36 改定・年金法
37 市町村合併特例法
<6> 憲法改悪・立憲主義の危機をまねく悪法
38 自民党新憲法草案
39 新教育基本法
40 改憲手続き法
私は、この本を読んでいないのと、これらの法律内容に目を通していないので、詳しいことはコメント出来ないのだが、「名前だけ見ると“よさそうな法律”に見えるものも多いが、内容は悪法だ」と指摘している本なので読んでみたいと思っている。「自立支援法」=弱者切捨て法、といった各法律のイメージは分かる気がする。例えば、
(引用)
斉藤:厚生労働省と内閣府が検討している『残業代ゼロ法案=ホワイトカラーエグゼンプション』というのがあります。雇用規制緩和という名の下に、サービ残業を強いるものです。舛添厚労大臣は、『家族団らん法案』とか『早く帰ろう法案』などに名称を変えると言っていますが…。(会場から笑い)
「みなさん、自分で働き方を決められますか?(無風注:今日はもう帰ろうとか「残業してくれ」と言われ「しませんよ」といって帰ることが出来ますか?) 『過労死』と『過労自殺』は同じだとすでに言われています。働き方を変えない限りホワイトカラーエグゼンプションが施行されても残業代が減るばかりかサービス残業が増えるばかり。権力を持っていない人の尊厳・命が大切にされないのです。」…引用終り
(更に引用)
安田:『統制国家を目指す悪法』とは何か? それは、『人間の内面に立ち入る(踏み入り、規制する)法律』です。これらの対象になるのは、(思想の)左右に関係ない。(国民全てを統制)
例えば、先日開催された世界陸上大阪大会会場付近の公園で、ある青年が逮捕されました。この公園で生活する人たちが排除されたことは結構報道されましたが、この件はほとんど報道されていません。この青年は、支援団体の人です。逮捕理由は道路運送車両法違反ですが、共謀罪がなくてもこのような逮捕(予防拘束)ができてしまいます。
抜身の刀をちらつかせるだけで萎縮させる。上の方から押さえつける。これが政府の狙いです。共謀罪は何のために取り締まるのでしょうか。国民が(思ったことを)やらない、言わない社会になっていくでしょうね。
司会者「ところで、必要以上に不安を煽っているといった斉藤貴男批判がありますが、いかがですか?」
斉藤「オオカミ少年か?という話ね(笑)。確かに、絶対に私が言ったとおりになるということは断言できないけれども、取材で得た感触から判断している訳です。みんなが知っているようなことだけではないですし。」
「例えば、『兵籍簿』は現在の納税者番号に繋がっている。兵役のためと言って個人の情報が国家に管理されていた。納税の管理のため必要という住基ネットは国民総背番号制になりかねない。つまり、1つの法や制度はマスターキーとなるのです。国家の管理は1個進めば2個、3個はすぐ進みます。」
…引用終り
■『統制国家を目指す悪法』=『人間の内面に立ち入る(踏み入り、規制する)法律』について、コメントしたい。
秦の始皇帝の中国統一の基盤を作った一人と言われる「商鞅(しょうおう)」のやったこと。
商鞅の政治改革(法律至上主義)
まず始めにやったことは「什伍(じゅうご)の制」
国民を五軒、十軒毎に分け隣組を作らせた。(連座制・密告の奨励・信賞必罰・厳罰主義)
『五人組、十人組の制度を設け、人民を互いに監視、告発させて、組ごとの連座制を布く。
他人の罪を知りながら告発しないものは、腰斬(ようざん)の刑に処する。
告発したものには敵を斬ったのと同じ賞を与え、一方、罪人をかくまったものには、敵に降伏したのと同じ罰を与える』
公布後、まもなく、太子が新法を犯した。
商鞅は言った。「人民が法を守らないのは、上のものがこれを犯すからだ」(無風注:私もこの言に“同感!”、今の日本国にピッタリ)
しかし、太子は世継ぎであり、本人を処分するわけにはいかない。
そこで、侍従長の公子虔(けん)を処罰し、教育係である公孫賈(こうそんか)を入れ墨の刑に処した。
この効果はてきめんで、国中一人残らず法に服するようになった。
納税や防犯の連帯責任をとらせるために組を作らせ、例えばその中のどこかの家が犯罪者をかくまったりしたらその隣組全員が罰せられる。
税金を納めたり、兵士や人夫を出したり、とにかく政府との関係で連帯責任を持たせた。
この制度は、太平洋戦争直前に日本でも「隣組」として政府によって取り上げられ、戦時体制(全体主義国家)の柱となったシステムです。
無風注:この『商鞅』のこの改革を書いてあるサイトに「農民は最初戸惑ったが、のちに、それまで無かった『向こう三軒両隣』といった相互扶助の精神が芽生え、感謝された」といった今の政府方針を後押しするようなことが書かれていたが(もっとも『史記』にも同じような記載はあるが)、あなたは、自分が悪いことをしていないのに隣組の誰かが罪を犯しただけで、腰斬の刑(体真っ二つ)に処せられることになる法律を『感謝』しますか?…注終わり
始皇帝がこの“法律”により中国を統一したことで、それまでバラバラだった度量衡や轍の間隔が統一された、といった「良い面」は、「戦争のおかげで飛行機等の科学が飛躍的に進歩した」というのと同じで、だから独裁君主制はいいんだ、とか科学の発展の為に戦争しなくては、といった理屈にはならない。
商鞅の改革は、ずいぶん抵抗もあったようです。ある時田舎の長老たちが商鞅のところに面会に来た。商鞅に対して、政治が厳しすぎる、もっと優しくしてくれ、と訴えたんです。商鞅はどうしたかというと、一般民衆の分際で支配者に文句を言うとはけしからん、と言ってみんな処刑してしまった。
ところが商鞅の政治が軌道に乗ってくると治安も安定して、盗賊はいなくなる、道に財布が落ちていても恐れて誰も拾わないくらいになる。そうしたら、別の田舎の長老たちが商鞅に面会に来た。今度はなにかというと、「商鞅様のおかげで安心して暮らせるようになった、有り難や。」と商鞅を誉め称えに来たんです。
そうしたら、商鞅、どうしたと思いますか。今度も処刑してしまったのです。
庶民の分際で、御政道を誉めるとは身の程を知らぬ、畏れ多いおこないだ、というのが理由です。
要するに商鞅は国民が政府を批評する(いい・悪いを口に出す)こと自体を許さなかったんです。
黙って支配されておるべし、というわけだ。
今、政府が目論んでいるこの隣組制度の復活(今は、消火訓練・災害避難訓練・救助訓練・連絡網の整備といった地方自治体に行なわせている「訓練」→憲法改正で地方自治体から住民へ[地方自治へ参加の義務・国防の義務]→隣組の復活)を考えてみてください。
訓練への強制参加(無風注:今でも半強制=10日程前、出勤日である土曜日に[休暇届]を出した人が、その日にどうしても会わなければいけない来客が午後4時ごろにあるため、会社に出たきたので、「休暇とったのに大変ですね」と声を掛けたら、その休暇は「町内会の消火訓練」に出席するためとのこと。今でも国民は「ゆとりのある生活」をしていないのに、仕事だけでなく行政の肩代り、司法の肩代り=裁判員制度等々で段々と精神的肉体的に追い詰められていく。)が行なわれ、顔はニコニコの近所付き合い(ご近所の底力)は、自分の属する隣組から御政道に盾つく罪人は出ないか(連座制)と常に隣人に対し「疑心暗鬼」の心理状態を作り出す。
「人を見たら泥棒と思え」といった世の中が出来上がってしまう。
自分が連帯責任を取らされるのがイヤだから、例えば貴方が「こんなに(国は)税金を取らなくてもよかろうに」といっただけで、貴方を良く思っていない隣人から密告され逮捕される事態も起こることになります。
「物言えば唇寒し…」の時代となっていくのです。
(引用開始)
法律の功罪
秦の歴史を見ていておもしろいのは法律の果たした役割です。
秦に法律を取り入れたのは商鞅です。
彼は、厳罰主義、連座制、密告の奨励、信賞必罰と、法家の理想とする法律至上主義の制度を作りました。
これにより、これまでは有能な支配者が出ても、その支配者がいなくなればもとの木阿弥になってしまったのに、確立した法律は生き続けるため、改革の路線をそのまま走り続けることができたのです。
秦が後に始皇帝によって天下を統一するまでになったのも、この“法律”のおかげと言えます。
他方、法律には欠点もあります。法律至上主義が行き過ぎると、人心の底が見えなくなることです。(無風注:私が述べた世相となります)
人民の大部分が法律によって苦しめられるようになったとしたらどうでしょう?(無風注:法に触れると思わない何気ない行為や何気ない会話で「死刑!」と言われる世の中に生きる雰囲気をイメージして下さい。自分は何も悪いことをしていなくても隣組の一人が悪いことをして連座制で「死刑!」もアリなのです。)
秦の始皇帝、及び、その丞相李斯は法律をものすごく厳しくしました。
秦が滅亡した原因の一つはそのあまりに厳しすぎた法律にあります。
人民は法律に苦しめられるようになり、民心が離れていったのです。
だから劉邦(漢帝国の始祖)は、秦を滅ぼした時、秦の法律をすべて廃止し、「人を殺すものは死。人を傷つける者、盗む者はそれ相応の罪にあたる」というきわめて簡単な原則「法三章」を立て、民衆から大きな喝采を浴びました。
人々が生きるために法律(ルール)がなくてはならないが、行き過ぎもよくない。そういうことが、秦の歴史を見るとよく分かります。…以上、引用終り
■「汝、殺すなかれ」といった「~してはいけない」「~したら罰を受ける」といった“法”は、自分の為・相互の為に出来るのですが、それが往々にして権力者の国民支配に利用されます。
政府が法を「改正」する、と言ったときには、一つ一つ充分吟味し検討する必要があります。
法治国家で国民生活の基本となる法律が、政権政党の圧倒的多数によって一国会期間で17件も「強行採決」される国=日本。
国民は、それに対し「おかしい」「狂っている」と民主主義の崩壊を警戒する“常識”=良識を持つことが必要です。
人は自分が生きていくために、他人との共存を考え、法(ルール)をつくり、協同作業や役割分担をして社会生活を営んでいる。
この「自分のため」「皆のため」の法が、往々にして権力者の都合の良いように作られ、適用されることが起こる。
ヤメ蚊さんは、多くのマスメディアや国民や裁判所の法(刑法)に対する考え方が根本的に間違っていると指摘している。
(以下、ヤメ蚊さんのブログを引用)
■刑法は国民の行動の自由を保障するもの
◎刑法は、国家権力が強制的手段をもって取り締まる範囲を限定するもの。
刑法というのは、国家権力が身体的拘束を伴うような強制的手段をもって取り締まる範囲を限定するものだ。
取り締まる範囲を明らかにすることで、市民の行動の自由を保障しているわけだ。
つまり、刑法で規定された犯罪類型に当たる行為をしなければ、逮捕されたり、起訴されたりすることはない…ということだ。
(ところが最近では)国家が市民の自由を保障するためにある刑法を利用して、国家が自分に敵対する者を弾圧している。…引用終り
最近は政府・マスメディアの言う事やることがウソだらけで、以前の私のブログ「最近の嘘ことば」に書き切れなかった言葉が、下記の法律に一杯見受けられる。
■『日本をだめにする40の悪法』合同出版社
<1> 統制国家をめざす悪法~いつのまにか国民をコントロールしている
1 共謀罪
2 組織犯罪対策3法(盗聴法,組織犯罪処罰法,刑事訴訟法)
3 ピッキング防止法
4 改定・住民基本台帳法
5 改定・入管法
6 心神喪失者医療観察法
7 ホームレス自立支援法
8 テロ対策基本法
<2> 思想信条の統制やメディア規制をうながす悪法
9 盗聴法
10 個人情報保護法
11 青少年健全育成基本法
12 人権擁護法
13 教育振興基本計画
14 児童ポルノ禁止法
<3> 軍事国家化をめざす悪法~テロ対策は隠れみの
15 有事3法(安全保障会議設置法,武力攻撃事態法,自衛隊法)
16 テロ対策特措法
17 防衛省昇格法
18 海上保安庁法
19 米軍行動円滑化法
20 イラク特措法
21 周辺事態法
22 米軍再編法
<4> 国民の責務を強調する悪法~行政の責任がいつのまにか自己責任に
23 健康増進法
24 少子化社会対策基本法
25 国民保護法
26 生活安全条例
27 裁判員制度
<5> 命と暮らしを破壊する悪法~格差を広げ弱者いじめにつながる
28 医療制度改革法
29 改定・介護保険法
30 障害者自立支援法
31 ホワイトカラー・エグゼンプション
32 改定・労働者派遣法
33 消費税率改定
34 郵政民営化法
35 生活保護制度の改定
36 改定・年金法
37 市町村合併特例法
<6> 憲法改悪・立憲主義の危機をまねく悪法
38 自民党新憲法草案
39 新教育基本法
40 改憲手続き法
私は、この本を読んでいないのと、これらの法律内容に目を通していないので、詳しいことはコメント出来ないのだが、「名前だけ見ると“よさそうな法律”に見えるものも多いが、内容は悪法だ」と指摘している本なので読んでみたいと思っている。「自立支援法」=弱者切捨て法、といった各法律のイメージは分かる気がする。例えば、
(引用)
斉藤:厚生労働省と内閣府が検討している『残業代ゼロ法案=ホワイトカラーエグゼンプション』というのがあります。雇用規制緩和という名の下に、サービ残業を強いるものです。舛添厚労大臣は、『家族団らん法案』とか『早く帰ろう法案』などに名称を変えると言っていますが…。(会場から笑い)
「みなさん、自分で働き方を決められますか?(無風注:今日はもう帰ろうとか「残業してくれ」と言われ「しませんよ」といって帰ることが出来ますか?) 『過労死』と『過労自殺』は同じだとすでに言われています。働き方を変えない限りホワイトカラーエグゼンプションが施行されても残業代が減るばかりかサービス残業が増えるばかり。権力を持っていない人の尊厳・命が大切にされないのです。」…引用終り
(更に引用)
安田:『統制国家を目指す悪法』とは何か? それは、『人間の内面に立ち入る(踏み入り、規制する)法律』です。これらの対象になるのは、(思想の)左右に関係ない。(国民全てを統制)
例えば、先日開催された世界陸上大阪大会会場付近の公園で、ある青年が逮捕されました。この公園で生活する人たちが排除されたことは結構報道されましたが、この件はほとんど報道されていません。この青年は、支援団体の人です。逮捕理由は道路運送車両法違反ですが、共謀罪がなくてもこのような逮捕(予防拘束)ができてしまいます。
抜身の刀をちらつかせるだけで萎縮させる。上の方から押さえつける。これが政府の狙いです。共謀罪は何のために取り締まるのでしょうか。国民が(思ったことを)やらない、言わない社会になっていくでしょうね。
司会者「ところで、必要以上に不安を煽っているといった斉藤貴男批判がありますが、いかがですか?」
斉藤「オオカミ少年か?という話ね(笑)。確かに、絶対に私が言ったとおりになるということは断言できないけれども、取材で得た感触から判断している訳です。みんなが知っているようなことだけではないですし。」
「例えば、『兵籍簿』は現在の納税者番号に繋がっている。兵役のためと言って個人の情報が国家に管理されていた。納税の管理のため必要という住基ネットは国民総背番号制になりかねない。つまり、1つの法や制度はマスターキーとなるのです。国家の管理は1個進めば2個、3個はすぐ進みます。」
…引用終り
■『統制国家を目指す悪法』=『人間の内面に立ち入る(踏み入り、規制する)法律』について、コメントしたい。
秦の始皇帝の中国統一の基盤を作った一人と言われる「商鞅(しょうおう)」のやったこと。
商鞅の政治改革(法律至上主義)
まず始めにやったことは「什伍(じゅうご)の制」
国民を五軒、十軒毎に分け隣組を作らせた。(連座制・密告の奨励・信賞必罰・厳罰主義)
『五人組、十人組の制度を設け、人民を互いに監視、告発させて、組ごとの連座制を布く。
他人の罪を知りながら告発しないものは、腰斬(ようざん)の刑に処する。
告発したものには敵を斬ったのと同じ賞を与え、一方、罪人をかくまったものには、敵に降伏したのと同じ罰を与える』
公布後、まもなく、太子が新法を犯した。
商鞅は言った。「人民が法を守らないのは、上のものがこれを犯すからだ」(無風注:私もこの言に“同感!”、今の日本国にピッタリ)
しかし、太子は世継ぎであり、本人を処分するわけにはいかない。
そこで、侍従長の公子虔(けん)を処罰し、教育係である公孫賈(こうそんか)を入れ墨の刑に処した。
この効果はてきめんで、国中一人残らず法に服するようになった。
納税や防犯の連帯責任をとらせるために組を作らせ、例えばその中のどこかの家が犯罪者をかくまったりしたらその隣組全員が罰せられる。
税金を納めたり、兵士や人夫を出したり、とにかく政府との関係で連帯責任を持たせた。
この制度は、太平洋戦争直前に日本でも「隣組」として政府によって取り上げられ、戦時体制(全体主義国家)の柱となったシステムです。
無風注:この『商鞅』のこの改革を書いてあるサイトに「農民は最初戸惑ったが、のちに、それまで無かった『向こう三軒両隣』といった相互扶助の精神が芽生え、感謝された」といった今の政府方針を後押しするようなことが書かれていたが(もっとも『史記』にも同じような記載はあるが)、あなたは、自分が悪いことをしていないのに隣組の誰かが罪を犯しただけで、腰斬の刑(体真っ二つ)に処せられることになる法律を『感謝』しますか?…注終わり
始皇帝がこの“法律”により中国を統一したことで、それまでバラバラだった度量衡や轍の間隔が統一された、といった「良い面」は、「戦争のおかげで飛行機等の科学が飛躍的に進歩した」というのと同じで、だから独裁君主制はいいんだ、とか科学の発展の為に戦争しなくては、といった理屈にはならない。
商鞅の改革は、ずいぶん抵抗もあったようです。ある時田舎の長老たちが商鞅のところに面会に来た。商鞅に対して、政治が厳しすぎる、もっと優しくしてくれ、と訴えたんです。商鞅はどうしたかというと、一般民衆の分際で支配者に文句を言うとはけしからん、と言ってみんな処刑してしまった。
ところが商鞅の政治が軌道に乗ってくると治安も安定して、盗賊はいなくなる、道に財布が落ちていても恐れて誰も拾わないくらいになる。そうしたら、別の田舎の長老たちが商鞅に面会に来た。今度はなにかというと、「商鞅様のおかげで安心して暮らせるようになった、有り難や。」と商鞅を誉め称えに来たんです。
そうしたら、商鞅、どうしたと思いますか。今度も処刑してしまったのです。
庶民の分際で、御政道を誉めるとは身の程を知らぬ、畏れ多いおこないだ、というのが理由です。
要するに商鞅は国民が政府を批評する(いい・悪いを口に出す)こと自体を許さなかったんです。
黙って支配されておるべし、というわけだ。
今、政府が目論んでいるこの隣組制度の復活(今は、消火訓練・災害避難訓練・救助訓練・連絡網の整備といった地方自治体に行なわせている「訓練」→憲法改正で地方自治体から住民へ[地方自治へ参加の義務・国防の義務]→隣組の復活)を考えてみてください。
訓練への強制参加(無風注:今でも半強制=10日程前、出勤日である土曜日に[休暇届]を出した人が、その日にどうしても会わなければいけない来客が午後4時ごろにあるため、会社に出たきたので、「休暇とったのに大変ですね」と声を掛けたら、その休暇は「町内会の消火訓練」に出席するためとのこと。今でも国民は「ゆとりのある生活」をしていないのに、仕事だけでなく行政の肩代り、司法の肩代り=裁判員制度等々で段々と精神的肉体的に追い詰められていく。)が行なわれ、顔はニコニコの近所付き合い(ご近所の底力)は、自分の属する隣組から御政道に盾つく罪人は出ないか(連座制)と常に隣人に対し「疑心暗鬼」の心理状態を作り出す。
「人を見たら泥棒と思え」といった世の中が出来上がってしまう。
自分が連帯責任を取らされるのがイヤだから、例えば貴方が「こんなに(国は)税金を取らなくてもよかろうに」といっただけで、貴方を良く思っていない隣人から密告され逮捕される事態も起こることになります。
「物言えば唇寒し…」の時代となっていくのです。
(引用開始)
法律の功罪
秦の歴史を見ていておもしろいのは法律の果たした役割です。
秦に法律を取り入れたのは商鞅です。
彼は、厳罰主義、連座制、密告の奨励、信賞必罰と、法家の理想とする法律至上主義の制度を作りました。
これにより、これまでは有能な支配者が出ても、その支配者がいなくなればもとの木阿弥になってしまったのに、確立した法律は生き続けるため、改革の路線をそのまま走り続けることができたのです。
秦が後に始皇帝によって天下を統一するまでになったのも、この“法律”のおかげと言えます。
他方、法律には欠点もあります。法律至上主義が行き過ぎると、人心の底が見えなくなることです。(無風注:私が述べた世相となります)
人民の大部分が法律によって苦しめられるようになったとしたらどうでしょう?(無風注:法に触れると思わない何気ない行為や何気ない会話で「死刑!」と言われる世の中に生きる雰囲気をイメージして下さい。自分は何も悪いことをしていなくても隣組の一人が悪いことをして連座制で「死刑!」もアリなのです。)
秦の始皇帝、及び、その丞相李斯は法律をものすごく厳しくしました。
秦が滅亡した原因の一つはそのあまりに厳しすぎた法律にあります。
人民は法律に苦しめられるようになり、民心が離れていったのです。
だから劉邦(漢帝国の始祖)は、秦を滅ぼした時、秦の法律をすべて廃止し、「人を殺すものは死。人を傷つける者、盗む者はそれ相応の罪にあたる」というきわめて簡単な原則「法三章」を立て、民衆から大きな喝采を浴びました。
人々が生きるために法律(ルール)がなくてはならないが、行き過ぎもよくない。そういうことが、秦の歴史を見るとよく分かります。…以上、引用終り
■「汝、殺すなかれ」といった「~してはいけない」「~したら罰を受ける」といった“法”は、自分の為・相互の為に出来るのですが、それが往々にして権力者の国民支配に利用されます。
政府が法を「改正」する、と言ったときには、一つ一つ充分吟味し検討する必要があります。
法治国家で国民生活の基本となる法律が、政権政党の圧倒的多数によって一国会期間で17件も「強行採決」される国=日本。
国民は、それに対し「おかしい」「狂っている」と民主主義の崩壊を警戒する“常識”=良識を持つことが必要です。