土曜日、昼近く、
蒲団に寝ていた私のところに息子が来て、
「行政道路にある…、なんていうんだっけ、
あそこにパソコンを見に行きたい」という。
「パソコン買うのか」
「うん、買おうかなと思って」
今、Kには私の使っていたディスクトップがある。
それでインターネットができない、といっていた。
だからゲーム機でやっている。
「バイトやって返すから、買ってくれる?」
私は前から、ノートパソコンを買えばといっていた。
2人で出かけた。まずPCバイキングに行った。
次ぎに、ジョーシン、そしてT・ZONEに行った。
Kが欲しいと考えているパソコンがなかった。
息子は、東芝のダイナブックのVシリーズを
買うつもりでこれまで、いろいろ調べていたようだ。
インターネットで調べたり、
大学に行く途中の渋谷近辺や、
近所のラオックスで見たりしていたらしい。
他のメーカーは眼中にないようだ。
ちょっと遠いが入間市にあるヤマダ電気に行った。
目当てのものが、展示品販売としてあった。
pentium III 700MHz マルチディスク
HDD 20GB メモリー128MB 165,000円だった。
展示品なので、フォッピードライブもつくという。
「これだけでこの価格だったらいい」息子がいう。
「よかったら、ご説明します」若い店員が来た。
「これから引けますか?」
「ちょっと、この価格からは無理ですね」
これまでのプライスは、199,000円とある。
学校でインターネットにつなぐには、
LANカードが必要だと息子がいっていた。
「LANカードつけてくれない」
「ちょっと、きいてきます」
そういって店員は消えた。
息子は恥ずかしそうに立っていた。
私がいろいろ店員にいうのがイヤみたいだった。
「もうしわけありませんが、それはできません」
しばらくして戻ってきた彼がいった。
「Kどうする? 今日はよすか」
私がそういうと、Kは買ってもいい顔をしていた。
若い店員が、困った表情をしていた。
「これどのぐらい展示してあったの?」
「3ヶ月ほどです」
「ついてるソフトは何があるのかな」
店員が画面を操作して「プログラム」を表示し、
必死になって説明してくれた。
「K、買うか」というと、
「うん」と息子が笑顔になった。
私としては、何もいわずに買ってもいいと思っていた。
でも、息子に値段交渉することを知ってもらいたかった。
家に帰って、
Kがインターネットに接続するための
設定をするのを私はそばで見ていた。
もうこのパソコンは息子のものだ。
おれが触るのはやめよう、と思った。