男はつらいよ

2005年10月22日 | 健康・病気

BS2で「寅次郎相合い傘」(75年シリーズ第15作)を観た。
私はこれまでかなり「男はつらいよ」シリーズは
観ているが、これは観ていなかった。
観ていてこの映画が、“寅さん”では一番いいと思った。

会社の重役でありながら平凡な毎日に嫌気が差して、
旅に出た男(船越英二)がいい。
その男と旅をしていて函館の屋台のラーメン屋で、
かつて恋心を抱いていた
歌手のリリー(浅丘ルリ子)と再会する。

葛飾に戻って、とらやで暮らすリリーと寅。
いろいろあるが、
男がお礼にくれたメロンでのエピソードがよかった。
寅の分を忘れて切ってみんなで食べようとしたところに、
寅が帰ってきた。
「このメロンはおれがもらったものだ。
 それをみんなで勝手に食べやがって」
というようなことをいう。
この辺が、寅のケツメドのちっちゃなところですね。
でもこういうのは、
ほとんどの人間の心の中にあるものだ。
それを表に出すか出さないかなのだが…。
普通は出さない。
それを寅は出す(素直でよろしい)。
しかし、リリーはそれを許さない。
きっぱりと寅のことを否定する。
その言葉を聞いていてすっきりした。
これまで寅という男を観てきた観客も頷いたに違いない。
寅にはっきりと悪いことをいけないという女は、
リリーぐらいしかいない。
さくらも妹という立場上、完璧にはいっていない。

アパートを見つけたから行くというリリーに、
おいちゃんたちのいる中でさくらは、
お兄ちゃんと結婚してくれないか、とリリーに頼む。
そのときは結婚してもいいといったリリーだが、
寅が帰ってきてその話をすると、拒否する。
こういうところ、シナリオがうまい。

1時間半という今から考えれば短い映画だった。
でも、「男はつらいよ」シリーズでは、
一番いいものではないかと私は思う。

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