リコーダー

2012年07月06日 | 健康・病気

van eijck - pavane lachrimea (Br�・ggen on original Terton)



私が高校を出て、東京の手工ギター工房に弟子入りして3ヶ月でやめたことは前に書いた。
翌年、大学に入るために3月に上京して就職し、4月から予備校に通った。
(予備校は秋には行かなくなってしまった)
アパートは駒込駅から歩いて10分ほど歩いたところにあった。
駒込駅は、山手線の池袋駅から大塚・巣鴨の次の3つ目です。
3畳の部屋で台所とトイレは共同で、1階はたしかプラスティックの看板を作る工場だった。
左の階段を上がって6畳が2部屋あり、隣に3畳の部屋が2つだった3つだったか、よく覚えていない。
6畳の部屋からいつも笛の音が聴こえてきた。
夏などはドアを開けているので、笛を吹いている男の姿が見られた。
見るとはなしにその部屋を見ると、大きなキャンバスがあった。
その男の人は、笛を吹いているか絵を描いていた。
私の部屋は一番奥で、1階にある台所とトイレに行くときに、必ず彼の部屋の前を通る。

いつしか彼と話すようになり、彼の部屋で酒を飲むようになった。
私より1歳年上の彼は、美大の受験に失敗して大学を諦め、山谷で日雇いの労働をして絵を描いていた。
彼の部屋は、大きなキャンバスが何枚もあり、本が何冊も積んであった。
酒の空き瓶も転がっていて、灰皿には煙草の吸い殻が山のようになっていた。
よく友だちが遊びに来た。
美大の学生、漫画家の卵、大会社のOL(なんて今いわないな)、水商売の人、いろんな人がやってきた。
こんなことを書いているとキリがないですね。

この人は I さんといいます。
I さんの吹いていた笛は、プラスティックのアルトリコーダーだった。
それでバッハやヘンデルのフルート曲の楽譜を吹いていた。
そのうち私もリコーダーを吹きたいと思った。
高校まで吹奏楽部でトロンボーンを吹いていて、何か楽器を始めたいな、と考えていた。
私が、ケーナと出会う前です。
リコーダーの指使いに、ジャーマン式とバロック式があることを教えてもらった。
難しい曲をやるにはバロック式がいいと I さんにいわれ、私はそれを楽器屋で買った。
ヤマハのプラスティックのアルトとソプラノのリコーダーでした。
ジャーマン式とバロック式の違いは、ファの音の押さえ方だ。
ジャーマン式は右手の人差し指だけでいいのだが(小学校で吹いたリコーダーです)、
バロック式は、人差し指に薬指と小指も押さえなければならない。
これがちょっと難しかった。
でも慣れるとこのほうが演奏しやすかった。

それから私は毎日リコーダーを吹いていた。
バッグには、リコーダーを入れていて、吹けるところがあると吹いていた。
I さんと二重奏をやった。
そのうちプロボクサーをやめた龍彦もリコーダーを吹き始めるようになった。
ある時期、リコーダーがすべてという生活を送っていた。

そんなときに出会ったのが、フランス・ブリュッヘン(この動画の人)の「涙のパヴァーヌ」です。
そのとき勤めていた本郷三丁目の会社の近くに輸入楽譜専門のアカデミア・ミュージックという店があった。
そこでリコーダーの楽譜は買った。
そしていつの日か、「涙のパヴァーヌ」(ヴァン・エイク作曲)に出会った。
この曲が好きでしたね。
毎日吹いていた。
フランス・ブリュッヘンのコンサートにも行った。
私が吹いた「涙のパヴァーヌ」をこの九想話にリンクさせてしまいます。
これは7年前の演奏です。
20代の頃はもっとうまかった、と思う ?


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7 コメント

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素晴らしいです! (アンジェラ)
2012-07-07 05:39:00
九想さん、おはようございます。


朝一で、いい曲を聞かせて頂きました。リコーダーも優しい音色がしますね~・・・あらためて、楽器が演奏出来るって素敵だなぁって思いました。

最近はケーナの音色が好きです。同級生が上手に吹いています。ケーナの音色も何とも言えない魅力がありますね。実家の中之条で「中之条の歌」というのが出来て、その曲をケーナで演奏したCDを聞きました。感動しました!

今日は午後大賀ホールで3・11東日本大震災チャリティーコンサートに主人と行きます。楽しみにしています。
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朝のリコーダー (九想)
2012-07-07 09:19:59
アンジェラさん、おはようございます。
朝にはソプラノリコーダーがいいですね。
アルトは夜という感じですかね。

大賀ホールのコンサートいいですね。
私は、土日が休みではないのでコンサートにはなかなか行けません。
楽しんできて下さい。


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Unknown (翔空)
2012-07-08 09:02:25
リコーダーの曲、すごいですね。
7月8日朝から、癒される気がしました。
小学生の使うリコーダーと違って音が違いますね。
演奏が、曲がすばらしいと思いました。
この曲は、しばらく前に曲の名前に魅かれて
「ルネッサンスリュート名曲集」を購入して聞いたものでしたが、リコーダー独奏が身にしみました。
ケーナだけでなく、リコーダーもプロ級の曲を演奏できるんですね。全くもってすごいことです。

私は、小学校用のリコーダーで小学校用の曲くらいしか出来ません。こんな曲は、できません。
単純な曲です。たとえば「ふるさと」「若者たち」「エーデルワイス」「アメージンググレース」出来たらやってみたいのは、ケーナでも有名な「コンドルは飛んでいく」「花祭り」です。

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涙のパヴァーヌ (九想)
2012-07-09 10:15:56
翔空さん、おはようございます。

リコーダーはいいです。
簡単に音が出て、吹けば吹くほど深みがあります。

「涙のパヴァーヌ」という曲は、リコーダーのときはヴァン・エイク作曲なんですが、
ギターで演奏のときはダウランド作曲となっている。
これは昔から謎でです。
どうしてなんだろう?
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Unknown (aosta)
2012-07-09 21:44:15
「涙のパヴァーヌ」と聞くと、ギターによる演奏が一般的ですが、元々はダウランドが作曲した世俗歌曲を作曲者自身がリュート独奏曲として編曲したものと記憶しています。
歌曲もリュートのための編曲も大人気となり、オランダのリコーダー奏者ヴァン・エイクもリコーダー演奏用に編曲したという事のようです。
したがって夫の説明によれば、リコーダーの場合『ヴァン・エイクの変奏によるダウランドの「涙のパヴァーヌ」というのが正しいのだそうです♪

九想さんの「涙のパヴァーヌ」聴かせていただきました。
はりのある音色、若々しい爽やかな演奏ですね。
「涙のパヴァーヌ」に"爽やか"という感想も変かもしれませんが、透明感のある素敵な演奏だと思います。
私はこの曲に限らずパヴァーヌの憂いのある曲調がとても好きです。
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Unknown (aosta)
2012-07-09 21:58:07
続投です(^^ゞ
九想さんの学生時代、夫とかなりニアミスしているようです。夫も高校時代ブリュッヘンの演奏を聴いてリコーダーに目覚めたそうです。
予備校時代は大塚の四畳半のボロアパート(笑)
大学に入れば4年間、寝ても覚めてもリコーダー。
いまだにリコーダーへの入れ込みは尋常ではありません。

今回のブログ、アパート暮らしの予備校生活、リコーダーを吹くIさんとの出会い、上質の短編小説を読んでいるような気持ちになりました。
淡々とした描写の中に過ぎ去った日々への哀感のようなものが感じられます。
こうした文章、とても好きです。
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涙のリコーダー (九想)
2012-07-10 11:15:51
aostaさん、おはようございます。

「ヴァン・エイクの変奏によるダウランドの『涙のパヴァーヌ』」
ご主人のいわれたこと納得です。
これで40年間の謎が解けました。
いやそういうこととは推測していたのですが、
突き詰めないままにリコーダーからケーナに“転向”してしまいました。

60歳になり、またリコーダーを吹きたくなりました。
こんどはソプラノではなくアルトにしようかな。
木製のしっとりとした音のアルトリコーダーが欲しいですね。

ご主人とはどこかですれ違っていたかも知れませんね。
駒込と大塚では近いですからね。
私の女房は知り合った頃、地下鉄丸の内線の新大塚駅の近くのアパートに住んでいた。
私はそのとき東大生協の本郷店で仕事をしていました。

私の二十歳のころのことを、そろそろ小説にしたいと考えています。
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