今日、手話ニュースを見ていたら、ある地方の田んぼの景色が写った。
そして、アナウンサーが、「これは、はざがけといって…」稲をこうして乾燥
させている、とかなんとかいった。
私は、どうもこの「はざ」という言葉が馴染めない。それは、私の生まれた
茨城ではそういういいかたはしなかったからです。私のふるさとでは「おだ」
といっていた。
私は小さい頃、両親が稲刈りをするところで、イナゴを捕ったりして遊んで
いた。高校生の頃は、私も稲刈りを手伝った。現在のように稲刈り機などなく、
左手でつかんだ稲をノコギリガマで切っていった。ノコギリガマというのも、
みなさんは馴染みのないものだと思います。普通のカマではなく、三日月のよ
うな形をしていて、刃は鋸のようになっているカマです。私も、テレビや映画
でノコギリガマを見たことがない。
稲刈りに行くときは、田んぼに「おだあし」をリヤカーに積んで持って行く。
これが重かった。
刈り取った稲は田んぼに寝かしといて、刈り終わってからそれをある太さに
して、前の年に脱穀した藁でまるく(結わく)。それをあらかじめ立てておい
た「おだあし」に束ねた稲を架けていく。
私など、稲刈りをはじめて30分もすると腰が痛くなり、腰を伸ばして「あ
あ~、いてェ」なんてうるさいのに、父と母は、黙々とカマを動かしていた。
10時とかの休憩に、親父はうまそうに煙草を吸っていた。おふくろは、私
が手伝うのが嬉しいのか、ニコニコしてお茶をいれていた。
しかし、なぜ一般には「はざ」といって「おだ」といわないんだ。
角川書店の「合本 俳句歳時記」を見ても、「はざ」はあっても、「おだ」
はない。
この文を書くにあたって、私はくやしいので、CD-ROMの広辞苑で調べ
てみた。
>はさ【稲架】
> (新潟・富山・福井・岐阜などで) 稲掛。稲架(トウカ)。はざ。 季・秋
>おだ >
(茨城・千葉県で) 稲架。おだかけ。その脚となる二本の立木を
>「おだあし」という
と出ていた。
な~んだ、「おだ」もあるんじゃないか。じゃなぜ、「おだ」は一般的に使
われないんだ。どうして歳時記にないんだ。茨城・千葉だからか、私は面白く
ない。
いつか私は、「おだ」で俳句を作ろう。ダレモ、ワカンナイダロウナ。
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