ラジカセ

2017年08月02日 | 健康・病気

今日は朝からラジオ・テレビで、ラジカセが発売されて50年目、といっていた。
そうか、と私は、遠くを見る目になっていた。
私が初めてラジカセを手に入れたのは、19歳で2度目の上京したときだ。
高校を出て最初に手工ギターの工房に弟子入りし、3ヶ月で逃げるようにして茨城に帰った。
翌年の3月に、夜の予備校に行こうと考えて東京で仕事を探し、駒込の3畳のアパート暮らしをした。
テレビの買えなかった私は、秋葉原で買ったラジカセが生活の友でした。
アパートで本を読むとき、ギターを弾くとき以外は、いつもラジカセのスイッチが入っていた。
いつ頃からか、私は同じアパートの I さんと話すようになった。
酒もよく飲んだ。
I さんの友人に、マンガを勉強していたヒビさんという私より2つぐらい年上の人がいた。
いつも一本歯の下駄を履いていた。
金はいつも持っていない。
私のところに来ると酒を飲んだ。
その支払いはいつも私だ。
帰りに必ず小遣いをねだる。
そういう男だった。
ある日、家に帰るとラジカセがなかった(その頃私は、部屋のカギは締めていなかった)。
なんで?と思った。
あとで分かったことですが、私が留守のときラジカセをヒビさんが持って行ったらしい。
何日か後に、ヒビさんが1人の女の子を連れて私のアパートに来た。
デザイン学校でデザインの勉強をしていた可愛い子だった。
3人で居酒屋に行った。
とうぜん、支払いは私です。
でも私は嬉しかった。
その頃、私は女性とはまったく縁がなかった。
遅くまで、3人で飲んだ。
そのことでヒビさんは、私のラジカセのお代を払ったと考えたのか、あのラジカセは返ってこなかった。
おそらくあのラジカセは、質屋で流れてしまったのだろう。


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