草笛の音次郎

2008年11月26日 | 健康・病気
「草笛の音次郎」(山本一力著 文春文庫)を読んだ。
この人の小説はこれまで2、3編読んでいる。
といっても、文芸雑誌に載っていた短いものだ。
直木賞をとった「あかね空」も読んでいる。

この小説は文庫本で445ページある長編小説です。
長編ですが楽しく飽きずに最後まで読めました。

28歳の音次郎は、21歳まで真面目な版刷り職人として生きていた。
そんな彼が渡世人となったのはばくちだった。
といってもそれが原因で身を持ち崩したわけではない。
一緒にばくちをしていた職人仲間が店の売り上げに手をつけ、
その金を音次郎は借りていた。
そのことが版元のあるじにばれて、ふたりは首になった。
そして音次郎は、賭場を開いていた組の代貸の源七の器量の大きさに
惹かれていて、「下働きで使ってくれ」と頼み込んだのである。

それから音次郎の渡世人暮らしが始まる。
いろんなエピソードを読んでいて、気持ちが明るくなった。
渡世人も、やはりバカではいけないんだな、と思った。

この小説は、音次郎の親分である貸元、
恵比寿の芳三郎の名代として、
江戸から千葉の佐原までの“股旅物語”である。
行く先々でいろんなことがある。
それを乗り越えて音次郎は、しだいに大人になっていく。

面白かったけど、後半間延びしている感じがあった。
前半の速度で面白いストーリーが続いていくと、
もっとすばらしい小説になったと思う。

コメント
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