居酒屋“すずき”

2006年06月07日 | 健康・病気
以前、私は公団住宅のテラスハウスに住んでいた。
テラスハウスというのは2階建ての3Kで、
小さな庭がある長屋形式の公団住宅です。
そこが建て替えになるということで10年前、
駅前の建て替えられた新しい住宅に引っ越した。

今日、陶芸教室が終わってから、“すずき”という居酒屋に行った。
昨日から楽家がやってないからだ。
その“すずき”という居酒屋には10年前に1年ほど通っていた。
私が以前住んでいた家の近くに開店したばかりだったからだ。

前から“すずき”には行きたいと思っていた。
思っていたが家から遠かった。
自転車に乗って7、8分はかかる。
楽家があるから…、という気持ちもあった。

「陶芸教室が終わったら“すずき”に行くから」と、
昨日からみっちゃんにいわれていた。
私とすれば、複雑な思いもあるが嬉しかった。
10年前、よく飲んでいた店に行くのだ。
マスターとママは覚えているわけはないな、と思っていた。

われわれは奥の座敷で飲んでいた。
料理などをママとマスターが運んできた。
ママの印象はかなり違っていた。
女性とは10年たつとこれほど変わるのかと驚いた。
マスターはほぼ10年前と一緒だった。

しばらく飲んでから、マスターが席に坐って、
タバコを吸っているときに、
「マスター、覚えていないと思うけど、
 おれは10年前にここでよく飲んでたんだ」というと、
「覚えてますよ。『カットバン』という小説を
 持って来てくれましたよね」
私は唖然とした。

よく“すずき”には飲みに行ったな、と覚えてはいるが、
自分が書いた小説を持って行ったなんてことは覚えてなかった。
私は、「そうですね」なんてつくろったが、
その事実は記憶になかった。
「カットバン」という小説は、私が30代に、
オール讀物の新人賞で一次予選を通過した作品だった。
そんなものを“すずき”のマスターに読ませていた、
と考えると、冷や汗が出た。

コメント (2)
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