雨読

2002年04月22日 | 小説 エッセイ

<本質的には、世の中に嫌な奴なんて誰もいない。
 自分と異なる価値観や行動パターンや見解を
 持っている奴がいるだけだ。
 あなたは、彼らを便宜上、
 嫌な奴だと呼んでいるだけなのである。
 しかし………この世の中には、
 嫌な奴があまりに多すぎる。>

これは、重松清の小説
「四十回のまばたき」(幻冬舎文庫)
の中に出てくる文章です。
日曜日、所沢は雨降りの暗い一日だった。
朝からどこにも出かけず、
パジャマのままで小説を読んでいた私は、
この文章に出くわしたとき、
涙がふいに出てきた。
自分ひとりのときならいいのだが、
女房がいたので困った。
なんとか女房にはバレないですんだ。
本を読んで涙を流しているなんてことが知れたら、
あいつに何いわれるか分からない。

しかし、こういうときなんだな、
小説っていいな、と思うのは。

コメント
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