純米燗オヤジの戯言 佐用の酒屋 地酒のDON

「完全発酵の純米酒を燗で呑む文化を普及させたい」そんな純米燗伝道師を自負する酒屋のオヤジ奮闘記。

系譜が気になる酒米たち・・・「改良雄町」「近畿33号」「銀坊主」

2018年04月26日 | お米
私が個人的な嗜好で注目している酒米がある


島根県では、ポピュラーに醸されている「改良雄町」

その親の「近畿33号」

そのまた祖先の「銀坊主」


私は、この系譜の酒米で醸した純米酒が気になってしょうがない(笑)



その中心を通る酸から、濃い旨味がピョンピョンと飛び出してくるような

独特の味の組成をしているように思えるからです


柔らかくて優しく、透明感があり、またキレもあり、強さもある




(系譜図) 改良雄町
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    近畿33号  比婆雄町(純系雄町)
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  近畿15号  近畿9号
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  銀坊主   朝日
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  愛国   日の出 (改良雄町の祖先)




「改良雄町」「近畿33号」は、「銀坊主」の系譜をひく酒米なのですが

この「銀坊主」の純米酒が、以前「日置桜 穿」として醸されたことがありました

覚えていらっしゃる方も多いかと思います


今また、山根酒造場から「銀坊主」と「強力」で醸した純米酒が新登場しました

それが・・・

「日置桜 復刻ラベルH28BY」です

これ、注目です




まだ、スレンダーな旨味であるが、上品で清楚。そして夏みかんのような強めの酸が跳ねる・・・なんだ??口中で温められるほどに急速に旨味が膨らみ始める。まるで焼いているお餅が膨らむような感覚だ。余韻にはまだ渋味が残る。面白い味の組成だ。酒米の「銀坊主」の特徴が出ているようだ。
燗につけると旨味が膨らみ、酸も程よく立って、より落ち着いた酒質になる。
しかし、これ、何か急激に変貌する予兆がある。メッチャ惹かれるなぁ。(笑)

 原材料: 米・米麹
 酒米: 強力(24%)銀坊主(76%)
   (数馬豊郎氏栽培米)
 精米歩合: 65%
 アルコール度: 15〜16度
 日本酒度: +7.5
 酸度: 2.7
 アミノ酸度: 2.1
 酵母: 協会7号



また、「改良雄町」の親の「近畿33号」で醸したのが

「玉櫻(島根)純米近畿33号」




「改良雄町」の純米酒はこちら

「玉櫻生酛改良雄町」




「十旭日生酛改良雄町」





【ぷち薀蓄】

「雄町米の系譜について」



「雄町米」は、本来、鳥取の大山の麓の原生種であり、

「強力米」とともに一番古い種のお米であり、

「山田錦」「五百万石」「玉栄」などの酒米の祖先でもあります。


「改良雄町」については、

比婆地方(広島)で栽培された純系雄町の「比婆雄町」と

「近畿33号」を掛け合わせて栽培しやすく品種改良したもので、

古来の雄町の系譜としては、少し遠い関係になるのかもしれません。


雄町として各地で栽培され、

その優良種を純系淘汰したものが

地方名を冠した「備前雄町」「比婆雄町」「赤磐雄町」などで、

古来の「雄町米」とは系統が異なってきているものもあるそうですが、

他の品種の血が入っていないという意味で、

これらは「純系雄町」と呼んでいるそうです。 


ひとくちに「雄町米」といっても奥が深いですね。


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