唐茄子はカボチャ

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彼女を見ればわかること

2007年01月12日 | 映画 か行
彼女を見ればわかること

日活

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昨日観た「美しい人」が頭から離れなくて、ついついDVDを買ってしまいました。

彼女を見ればわかること・・・・
最初に出てくる女性の自殺死体、そこから彼女のの何がわかるのか、心の奥底まではわからないのです。というお話でした。・・・違います。そんな話ではありません。でも、物語とは直接関係ない女性の死体がこの映画の象徴のように思えました。刑事の姉さんから聞いた話で推理する妹の言葉がとても切ないのです。

妹さんは最初は自殺なんかしてバカだ!と言っていましたが・・・きっと目の見えて仕事のできるお姉さんへの嫉妬を、自分が男の人とデートして見せびらかすことで優越感をもちたかったのだろうと思いますが、結局、捨てられたとわかったときに、一人で自殺した女性と自分が重なったのでしょうね。盲目の女の子の言葉はショックですよね。浮かれていた心を冷静に見透かされていたようで・・・

最初のお医者さんとか、刑事さんもそうかな?職場と家にいるときの別の顔ぶりが良いです。
銀行の人はある意味仕事の顔と家での顔は一緒だったのかもしれません。どちらも同じように心を閉ざしてそれで自分を守ってきたのでしょう。でも、そのことで自分が傷ついてしまっていたわけですね。悲しいですね。

みんな心が休まる場所を探しているのに、それを見つけ出すのは難しい・・・
占いや変なおばさんや子どもに一番の自分の気持ちを見抜かれちゃうというのも重要です。そういう心から頼れる人とか、自分の気持ちをわかってくれる人が近くにいないということだし。で、何のつながりもない人に言い当てられちゃうんだから。

きっと何度も観たくなる映画です。その時々でいろんな発見がありそうな気がします。

この映画も5つのお話から構成されています。でもちゃんとどこかでつながっているところは美しい人と同じです。

ここでやっぱり、人と人というのは、それぞれ知らないところでつながっていて、でも、つながっているだけではその人のことはわからないわけですね。

たとえば、コンビニのレジにいたかわいいあの子(なんじゃそりゃ)、買い物にいけば会えるけど、彼女は彼女の人生を生きてきたわけで、自分との接点はコンビニのレジだけなわけです。自分はその人の人生はわからない。そして、自分の人生のこともその彼女はわからないわけですね。
また、たとえば、一緒に暮らしている兄がいたとしてですね、同じ家で生活しているわけだから、ずっとながっているはずなんだけど、実はこころは重なっていない平行線だったりするわけですね。だから、相手の人生を見れる立場にいても結びつこうとしなければ相手のことはわからないわけですね。
さらに、たとえば、あの薬屋で薬を選んでいたきれいな女の子が、実はコンビニの女の子と知り合いだったなんてこともありうるわけです。実はそこの薬屋のおじさんは自分のお父さんだったり・・・
事実としてはそういうつながりはあるけれど、自分の人生にとって、それは何の関係もないことなんです。あとで重要な関係になるかもしれませんが・・・
人間のつながりなんてそういうものだということですね。

それぞれの人が心の安らぎを求めていて、信頼しあえる心をゆるせる相手を求めているんですねえ・・・そして俺も求めているんですねえ・・・

あと、ところどころででてくる意地が悪いところもいいです。人間はすべてがいい人なんていないし、意地が悪かったり欠点や弱いところがあるからこそ、その人が見せる本音の部分が美しく感じるような気がしました。光あるところに影というか、影があるからこそ光が鮮やかになると言うか・・・なんでもいいか。

そういう、人と人とのつながりの面白さを感じることができる話です。