2003/12/23 01:43
第2次世界大戦、ユダヤ人のピアニストのお話
あまり見たくなかった映画でした。このところ、派手なアクションとか人がいっぱい血を流して死ぬとか、そういう映画を楽しんで(?)みてきていただけに、戦争という現実を正面から描いた作品をどういうふうに受け止めていいのか・・・なんて思ってしまったり、みんなが「感動した」と言うので、それに抵抗を感じたり、単に観るのがめんどくさそうだと思ったり・・・・でも、絶対観なきゃいけない映画だとも思っていたわけですが・・・・
観てよかったです。「感動」するというよりは、何か突きつけられたような感じでしょうか。本当の戦争の姿を描く視点なので、心の高揚はあまりなく、どんどんしめつけられる苦しい感じになってきます。主人公が劇的に何かをやってしまうわけでもないし・・・
ただ日々を平和に暮らしていたいだけの家族たちが、戦争によって引き裂かれる悲しさ。「悲しさ」という言葉だけでは物足りないですね。
戦争で、人を支配することによって支配される人間をいとも簡単に殺すことが出来てしまう人間の狂気。
みんな生きたいのに死と向きあわなくてはいけない。それは突然に襲ってきて、さっきまで話していた親兄弟、恋人を相手のただの気まぐれで失ってしまうかもしれない、相手に命をもてあそばれる恐ろしさ。
そこに戦争の真実があるのではないでしょうか。戦争を知らないくせに!といわれるかもしれませんが・・・・まあ・・・そのとおりですけど・・・もごもご・・・・
最後のドイツ将校が助けてくれるくだりは、ただドイツ人憎しでなく、救いがある。
戦争は、一人一人の人間が相手が憎いから始めるのではないし、人間が営む社会同士というか、枠組み同士というか、国同士は本質的には敵対しないと思います。この争いは、国家が、一部の私腹を肥やしたい人間(というよりはそのシステムかなあ・・・)の思惑に乗っかってはじまるものだと思います。
人間の本質は戦争をしなければいられない生き物だという話をたまに耳にしますが、それは間違っていると思います。戦争をするとどこかで誰かが儲ける仕組みに今の社会のシステムがなっているところに問題があると思います。
アメリカのイラク支配も民主主義だ何だ言いながらそういう思惑のもとに動いているので、うまくいくわけがないし、自衛隊を送るのだって、(2時間ぐらい現地に飛んで帰ってきたアホな政治家もいますが・・・)何らかの国家の思惑・・・そういう衝動に駆り立てるそれを利用しているものの思惑からやられるわけで、そんなものが、イラクの復興のために役に立つはずがありません。
ユダヤ人を助けたドイツ将校のように優しい人も自衛隊やアメリカ兵の中にいたとしても、イラクを支配している仕組みが本当の復興を目的としていなければ、何も解決しないのではないでしょうか。
(こういう映画を観ると、こうなっちゃうからなあ・・・・)
映画の話に戻って、遠くから眺めている映像が、客観的に状況を映し出していて、それが現実の戦争をみせるいい効果を出していたと思います。建物から逃げ出すと、まわりが廃墟になっているシーンや、汽車で家族が連れ去られてしまうシーンなど、とても印象に残りました。
登場人物が、主人公とおわかれすると、そのままその人たちと人生の別れになっているような気がして、別れるシーンがとても悲しい。
音楽が、ピアノはすごいせまるものがあるけど、映画の音楽は記憶にないし、むしろ、音楽がない、シーンとしていた印象が強かった。