まだ気温が上がってこない朝、生き物たちをできるだけ驚かせないように静かに波打ち際を歩く。先へ先へ逃げる子フグの群れ、ハゼの子、子アジ、イワシ?トビウオ?の群れ、ほかいろんな稚魚が通り過ぎる。ワ~シワシワシ♪クマゼミの大合唱、浜を飛び交う赤トンボ。水面に映る夏空。時折聞こえる工事の音。立ち止まって気配を消してしばらくじっとしてるとだんだん魚たちが寄ってくる。フグのふりして逃げるコウイカの子。コショウダイもいる。
今日はフグ一匹取った。仲間が水槽にいるからね。
海の家の前の浜には海水浴のカップル一組。
おばちゃんが奥からアイスコーヒーを持ってきた。「濃いすぎたかね?」「どうかな?」「小さじ3杯入れた。」飲んでみて、「うわ、濃いか!」「まあ、そのうち氷が解けるから。」
店の前で遊んでるカップルの女の子のほうが、おばちゃんがベッドで起き上がってぼうっとしてるとこに窓からのぞくのでびっくりしたとか。「お客さんじゃった。昨日は寝とる間に(お客さんが)ボートに乗って行っとらした。帰ってきて初めて気づいたもん。一人で上げらるるかなて言うばって、私は砂浜歩ききらんもん。」
店は夏場は稼ぎ時だけど、なかなか年取って体がきかなくなるのがもどかしいらしい。「コショウダイは大きうなったらどこに行くとじゃろか、夜釣りに行っても釣れんよ。」「口はでかいけど、砂の中に口突っ込んで食べるから、多分底の方におるんやない?魚屋にもたまーにしか出らんもんね。」「底引きにかかるくらいかもしれんね。」などなど釣り話を聞いて帰ってきた。
昨日は川沿いを歩いてると国旗を掲揚に来た公務員の男性に呼び止められた。「魚釣りですか?」「いや、稚魚を取って飼ってるんです。」「へー、どんな?」「コショウダイとかシマイッサキとか、ハゼとかゴンズイとか。」「いるんですか?」「防波堤のあたりにね、いますよ。」いつも通りかかるヘンなおばさん、気になってたんだろうな。
そしてお城の石段に腰かけて隣の高校の運動部の子をつかまえてしゃべってる近所の?おじいさんにあいさつすると、「今から(石段を)上ると?」「はい。」「へえ~。おいは3日上ったけどやめた。きつか。」「毎日上ってるとだんだん筋肉ついて平気に(でもないけどね。)なりますよ。」
今日はあずまやで一休みしてるおじいさん、ワタシが浜に咲いてる薄紫のハマゴウを持って帰って飾ろうと切っていると、「何ですか?」「ハマゴウの花。飾ろうと思って。」「天山に墓のあるとですけど、女房がね、そやんして、墓参りより、いろいろ掘ってきて、庭に植えるとですよ。」「楽しみでしょう。」「枯れたりしても、根の残っとるからて。わしは全然わからん。ばって、そやん命を大切にするとは、長生きするてですよ。」なかなか深いね。