まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第658回定期演奏会

2021-07-20 17:50:24 | kyokyo
2021年7月18日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 大植 英次 / 管弦楽 : 京都市交響楽団


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● ストラヴィンスキー : バレエ音楽「ペトルーシカ」(1947年版)
この曲は、2014年9月の第583回京響定期で、ドミトリー・リス氏の指揮で聴いています。 1911年版。
ちなみに、協奏曲並みに活躍する独奏ピアノは、後に京響定期にも登場する野田清隆さん。 今回は佐竹祐介さん。

30余年の時を経て全面的な改定を加えたということですが、1911年版の記憶がないので、全くわかりません。
響きはより煌びやかに、かつ先鋭的なったと思われますが(知らんけど)。 オーケストラは舞台いっぱいに配置。

全体は4場で構成されますが切れ目なしに演奏されるので、現時点がどういう場面なのか分かりづらいのが難点か。
演奏に35分程度を要しますが、親しみやすい旋律と巧みな管弦楽効果により、飽きさせない工夫が施されています。

● ミュライユ : シヤージュ(航跡)
1985年、京都信用金庫の創立60周年記念行事の一環として委嘱された作品。 交響的三部作「京都」の一曲。
同年9月、小澤征爾さん指揮、京響の演奏で初演。 現メンバーの中に、当時在籍された方はいらっしゃるのかな?

タイトルの「シヤージュ」とは、京都にちなんだイメージとして、同心円状に広がる「石庭の砂紋」を意味します。
そこから、アインシュタインの相対性理論へとつながり、ブラックホール的な時空間の歪みにまで発想が展開する。

到底、私たちのような凡人には及びもつかない世界であり、いかにも現代音楽といった難解な響きが奏でられます。
作曲家の独り善がり的な、自己満足、自己陶酔の音楽になってしまうと、果たして後世に残る作品なのかどうか?

● ドビュッシー:交響詩「海」
指揮の大植英次さんは、2011年4月の大フィルの京都特別演奏会で聴いて以来、10年ぶり2回目となります。
当時の印象としては、サービス精神の旺盛なところは買えますが、少々軽躁な感じが無きにしも非ずといった感じ。

やはり、10年という歳月の重みは大きく、オーケストラに寄り添う如く丁寧であり、熟練した技を感じさせる指揮。
私が、これまで「京響サウンド」とイメージしたものを超えて、新たな境地(魅力)を創出した点は特筆に値します。

今回は、予定された外国人指揮者の来日が不可となったが故に実現した組み合わせ。 コロナ禍による幸運な副産物。
従来の広上体制から言うと「異分子」とも言える大植さんの登場。 京響に確かなケミストリーを引き起こした衝撃。