2013年3月24日(日)午後2時30分 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一(常任指揮者) / 独奏 : クララ=ジュミ・カン(ヴァイオリン)
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● ハチャトゥリアン : 組曲「仮面舞踏会」
プログラムノートの解説によると、作曲者ハチャトゥリアンはアルメニアの人だそうです。
「レイジング・ブル」の異名を持つボクシングの元世界王者、ビック・ダルチニャンと同じ。
アルメニア人の国民気質はよくわかりませんが、この二人には共通の「DNA」を感じます。
「剣の舞」のイメージ。 型破りで好戦的なファイター・タイプ。 うねるようなエネルギー。
加えて、広上さんの指揮姿はダルチニャンのボクシング・スタイルを彷彿とさせてくれました。
大胆でちょっと人を食ったようなおどけた動作、それでいて決めるところはビシッと決める!
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● コルンゴルト : ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品.35
チラシの「大陸的なスケール感溢れる」というコピーが、ちょっとした先入観になったような。
もっと感情移入たっぷりで情熱的な演奏をされる方かと思いきや、むしろ繊細・可憐な印象。
高難度の技術を要する曲にもかかわらず、全く危いところを感じさせない辺りは流石でした。
解釈の仕方によっては、もっと濃厚、爛熟したウィーン風の演奏もアリなのかも知れません。
逆に、才能溢れる若手演奏家を優しくサポートするような、広上さんの指揮ぶりにも好感。
ハリウッドの映画音楽との境目の辺りで、クラシック音楽としての品位を保った上質な演奏。
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● プロコフィエフ : 交響曲第7番 嬰ハ短調 作品.131
プレトークの際、広上さんの方から「あまり深く考えずに楽しんでください!」というお言葉。
ピアノを含めて、多彩な楽器群が活躍するオーケストラの世界に、すっかり魅了されました。
確かに、日本人が好みそうな「苦悩から歓喜へ」というようなストーリー性は皆無の楽曲。
だからこそ、オーケストラの成熟度や機能性を計る上では、格好の選曲とも言えるでしょう。
終楽章の終り方にはちょっと驚きましたが、これは初演版と改訂版との違いなのだそうです。
旧ソ連の芸術家が背負った宿命とも言える、政治的な干渉についても考えさせられました。
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卒なく演奏すれば誰もが感動を得るような、「通俗的」な名曲を並べるプログラムではなく、
広上=京響5年目のシーズンのラストを飾るに相応しい意欲的な選曲。 充実した演奏内容!