まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

イリヤ・レーピン 「皇女ソフィア」

2013-03-09 18:48:46 | art

国立トレチャコフ美術館(ロシア・モスクワ)蔵 「レーピン展」
2013年2月16日(土)~3月30日(土) @姫路市立美術館 企画展示室

            *  *  *  *  *

皇位継承を巡る争いに敗れたソフィアは、義弟ピョートルにより修道院の奥深くに幽閉される。
このシーンは、ソフィアを尼にするよう命令を受けた将兵が扉を開けた瞬間をとらえたもの。

長年の幽閉生活にもかかわらず衰えを知らない闘争心、圧倒的存在感と王者としての風格。
怯えた目つきでこちらを窺う小柄な侍女と比べると、よりいっそう際立つ彼女の強烈な個性。

部屋右奥の窓外には、親ソフィア派の銃兵隊長の死体が見せしめのために吊るされている。
前身から溢れんばかりの憤怒の情の背後には、凍りつくような恐怖・絶望感も読み取れます。

            *  *  *  *  *

私たちをドラマチックな歴史の一場面の目撃者のように思わせてしまう、見事なまでの画力。
ロシア歴史画の傑作と共に、家族の日常を描いた微笑ましい作品も印象的な展覧会でした。

Sophia

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする