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まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

奈良・薬師寺にて

2010-01-07 12:40:55 | art

幸運にも、午後からの予定がフリーだったので、近鉄電車に乗って、奈良・薬師寺へ!
記憶が曖昧なのですが、たぶん、小学校か中学校の遠足で、一度訪れたことがあるような?

            *  *  *  *  *

● 玄奘三蔵院伽藍・大唐西域壁画殿
ここには、平山郁夫さんが30年の歳月をかけて完成された「大壁画」が飾られています。
平山さんの追悼番組でも、その制作過程が紹介されていました。 ぜひ見たい作品でした。

唐の都・長安からシルクロードを通り、インドにある仏教の聖地・ナーランダまでの行程。 
玄奘三蔵が歩んだ「祈り」の道から七つの物語が選ばれ、壁画に描かれています。

平山さんが最後に筆を加えられた玄奘三蔵のお姿も、しっかりと目に焼き付けてきました。
群青の夜空を背景に、月光を浴びて黄金色に輝く仏教遺跡。 そして、歩を進める一人の僧。

壁画には、「共存共栄」、「破壊と再生」、「希望」といった副題が添えられています。
玄奘三蔵の「祈り」の道は、今は、異なる民族・宗教・価値観が対立する「争い」の道です。

● 白鳳伽藍
広大な境内に整然と配置された建造物の圧倒的な存在感に、まず目を奪われてしまいます。
当時の人々の目には、いったいどんな風に映ったのでしょうか?! 想像を絶する思いです。

東回廊を進むと、前述の広壮な光景とは趣を異にする東院堂へ。 簡素な中にも古色美が。
ご本尊の聖観音菩薩像には、見る者を自然に祈りの世界に導くような気高さが漂っています。

中央の金堂には、薬師三尊像(薬師如来を中央に、日光・月光菩薩)が安置されています。
最初は、お姿の大きさに驚かされますが、不思議なほど威圧感がなく、安らぎに満ちています。

拝観の最後は、大講堂。 ご本尊の弥勒三尊像の背後に回ると、仏足石と釈迦十大弟子像。
釈迦十大弟子像(中村晋也作)のインド・ヨーロッパ系の容貌が、なかなか興味深かったです。

            *  *  *  *  *

お正月休みも過ぎ、人影もまばらな中、ゆったりとした気分で、拝観させていただきました。
私も、「お寺参り」のよさがわかる年齢になったかと思うと、ちょっと複雑な心境ですが…

※ 下の写真(↓)は、玄奘三蔵院伽藍の「礼門」です。
Sanzouin

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パウル・クレー 烙印を押された画家

2009-10-28 21:34:54 | art

平成16年に放送された番組の再放送を、NHKのハイビジョン特集でやっていました。
現代美術を代表するドイツ人画家、パウル・クレー。 画家としての彼の人生をたどります。

            *  *  *  *  *

■ 番組の中で、何枚かの絵の中から、クレーの作品を当てるというクイズが出題されます。
  多くの人たちが、子供の描いた絵を選んでしまいます。 どういうことなのでしょうか?

■ クレーは、子供たちの絵の中に、画家としての理想的な姿を見出したと言われています。
  純真無垢に自由奔放に描く子供たち。 クレーは彼らに近づくため、懸命に研鑚に励みます。

■ そうした中で生み出されたクレーの作品。 鑑賞する者の想像力を大いに刺激します。
  彼自身によって付けられた作品のタイトルも、詩的で夢幻的なイメージをかきたてます。

            *  *  *  *  *

■ あえて、アーリア人(ドイツ民族)としての出生証明書を提出しなかったクレーに対して、
  ヒトラー政権下のナチスは、さしたる根拠もなく、「退廃芸術家」の烙印を押すのです。

■ そして、烙印を押された作品ばかりを集めて、「見せしめ」のような展覧会まで開きます。
  国家の偏ったイデオロギーが芸術の世界を侵食していく、恐ろしい現実がありました。

■ 番組では、限られた資料・写真を基にして、この「退廃美術展」を再現してみせます。
   ひとつひとつを検証し、パズルのようにつなぎ合せていく作業は、興味深いものでした。

            *  *  *  *  *

最後に、「退廃芸術」の烙印を押されたクレーの作品をひとつ、ご紹介しておきます。
※ パウル・クレー作 : 黄金の魚 (クリックすると、拡大表示します)

The_golden_fish_3

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レンブラントの告発 ~名画「夜警」に隠された31の秘密~

2009-09-20 12:14:39 | art

西洋美術を代表する名画、レンブラント「夜警」には、数多くの秘密が隠されているそうです。
この番組は、その秘密の謎解きに挑んだ、ミステリー・ドキュメンタリー・ドラマです。

            *  *  *  *  *

■ 私が、レンブラントの「夜警」に初めて接したのは、中学校の美術の副読本でした。
  光と影のコントラスト、圧倒的な迫力と存在感、そのドラマ性に魅せられてしまいました。

■ この絵画を見たとき、皆さんは何処に目を奪われるでしょうか?
  私は、中央左に描かれた、金色に輝くあどけない少女。 でも、腰には逆さ吊りの鶏?!

■ 中央に描かれた、市民自警団の隊長。 黒ずくめの衣装に、こちらに差し出された左手。
  でも、この左手には爪が描かれていないのです。 書き忘れたものなのでしょうか?!

■ 中央の二人の背後には、今しも発射されたばかり、火花を飛び散らす銃口が見えます。
  この銃口は、いったい何(誰)を狙ったものなのでしょうか?! 狙撃手は誰なの?!

■ 集団を描いた「肖像画」にもかかわらず、顔を描かれていない?!人物が二人います。
  銃を持っている、後ろ向きの少年と、「黄金の少女」の背後に、もう一人の少女。

■ この作品は、後年(← 作者の没後)、展示に際して、左の部分が裁断されています?!
  所在が不明とされている裁断された部分には、二人の人物が描かれていたそうですが…

            *  *  *  *  *

これらの謎をひとつひとつ解明していくうちに、この作品に込められた真の意図が。
実は、この「夜警」は、前隊長の事故死に絡む陰謀を暴きだした「告発」画だった…?!

Yakei_2 

コメント (2)
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