5つの作品からなる短編集。タイトルロールは、映画監督が新作の宣伝も兼ねたTVの本番中に、生意気な男子中学生を殴ってしまう。その事件のため、謹慎中の自宅で、自分の人生を回想する。ベットで横になりながら、その事件の事の次第を自分なりに整理していく。さらには、彼が生きてきた人生を振り返る。
30歳でデビュー。東洋のゴダールともてはやされたこと。スランプに陥ってしまった日々。フランスに渡り4年間生活したこと。そんなことが思い出される。
この短編を入り口にして、『底流』『夜警』『焼土』という「死体の山の、後にある現在」を描くシュールな連作が並ぶ。
身重の妻がいるのに、他の女たちとセックスを繰り返し、殺してしまう男。そんな、彼を目撃した高校生カップル。この3人を、それぞれ主人公にした3連作である。3作は独立した作品だが、きちんとしたつながりもあり、時間は違うが主人公たちはその原点に殺人の目撃とそこから始まる物語を持つ。死屍累々の物語はそれぞれ異常な展開を見せ、興味深い。
最後の収められた『刺青の男』も異常な話だ。ラブホのやって来て、マージャン大会を繰り広げる刺青男。支配人は、男の妹に運命的なものを感じてしまう。全てを失っても構わないと思う。そんな話。
現実を入り口にして、不思議な世界に誘われる。青山真治がこんな作品を書いていたなんて少し驚いた。新作『サッド・バケーション』の公開も楽しみだ。
30歳でデビュー。東洋のゴダールともてはやされたこと。スランプに陥ってしまった日々。フランスに渡り4年間生活したこと。そんなことが思い出される。
この短編を入り口にして、『底流』『夜警』『焼土』という「死体の山の、後にある現在」を描くシュールな連作が並ぶ。
身重の妻がいるのに、他の女たちとセックスを繰り返し、殺してしまう男。そんな、彼を目撃した高校生カップル。この3人を、それぞれ主人公にした3連作である。3作は独立した作品だが、きちんとしたつながりもあり、時間は違うが主人公たちはその原点に殺人の目撃とそこから始まる物語を持つ。死屍累々の物語はそれぞれ異常な展開を見せ、興味深い。
最後の収められた『刺青の男』も異常な話だ。ラブホのやって来て、マージャン大会を繰り広げる刺青男。支配人は、男の妹に運命的なものを感じてしまう。全てを失っても構わないと思う。そんな話。
現実を入り口にして、不思議な世界に誘われる。青山真治がこんな作品を書いていたなんて少し驚いた。新作『サッド・バケーション』の公開も楽しみだ。