
先日見たアクション映画『バレリーナ』もこの小説くらいのお話があればもっと面白い作品になったのに。シンプルな話だけどかなりドキドキさせられた。冒頭の暴力はかなりのインパクトがある。若い女性が圧倒的な数のヤクザたちに暴力を振るわれている。だけど彼女は強い。この辺は『バレリーナ』と同じだけど、リアリティが違う。
この先の展開も面白い。彼女は問答無用でヤクザの娘のボディガードにさせられる。逃げ出すことはできない。
終盤の怒濤の展開がアクションではなく、時間の流れであることには戸惑いを隠せない。ふたりの逃亡生活が短い描写で描かれていく。5年、10年、20年。やがて40年の歳月が流れている。だからラストで封印していたアクションが描かれるけど、冒頭のしつこさとは違って、あっけない。だからといってガッカリするわけではない。こんな展開は想像もしなかった。このバイオレンス・アクション小説がこんな静かな幕引きをするとは、意外にも面白い。
説明はしない。深追いもないから潔い。190ページほどという分量もそう。あっという間に読めてしまう。しかも文庫版は解説と作者あとがきまで付いている。まぁ、いらないけど。