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映画・演劇のレビュー

村山早紀『桜風堂夢ものがたり2 時の魔法』 (優しい怪異)

2025-05-27 07:13:00 | その他
シリーズの第2作。だけどこれはもともと『桜風堂ものがたり』のスピンオフとしてスタートしている。リアルのお話から離れてファンタジーの領域に踏み込む。だけど村山早紀にとってはそれは同じこと。どちらも彼女の現実であり、現在点。ここで物語が生まれる。ここからお話は始まる。

明らかにこれは『桜風堂ものがたり』の続編シリーズである。だけど単純な続編ではなく、リアルから夢への移行がなされているところに意味がある。主人公の月原一整はこの山間の町桜野町にやって来て桜風堂を前の店主から引き継いだ。ここに夢の書店を作ることになった。そこから夢ものがたりは新たに始まる。

今回新しくカフェを併設する。まるでこれは東京バンドワゴンの地方版ではないか、なんて思う。リアルを生きることと夢を生きることは等価であればいい。そんな夢の時間がここでは描かれる。

ある日突然少女が現れる。まだ就学以前の女の子。お店は休みの日だけど、彼女はやって来て、梱包したままの什器を丁寧に開けている。一整のお手伝いをしている。それから時々彼女はやって来た。だけどみんなの目には見えない。だから、一整はそのことを誰にも話さない。少女は現れるたびに成長している。小学生に、やがて11.2歳の大人びた面影の姿に。ここからはファンタジー小説だ。さらにはこの店を訪れた作家、高岡が語る昔話。事故に遭い死にそうになったらこと。その時の想いが語られる。

ここまでで、まだ40ページである。この先がとても楽しみ。ゆっくりこの宝物のような小説を味わって読もうと思う。

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