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映画・演劇のレビュー

『相棒 劇場版Ⅲ』

2014-05-15 19:57:21 | 映画
TVシリーズを見るほどのファンではないけど、映画版はスピンオフも含めてなぜか全部見ている。それほど面白いわけではないけど、よくできている。そこそこには楽しめる映画だからだ。

 しかも、和泉聖治監督の作品なのだ。というか、彼の作品だから見るのだ。今では、ほぼ『相棒』専属監督になってしまったが、往年の彼の映画のファンだから、やはり、今でも彼の映画だというだけで、期待してしまう。

今回も緊張感のあるスケールの大きな作品だった。3作品ともまるで違う切り口を見せるのは見事、としか言いようがない。今回の舞台は太平洋の孤島。でも、東京都内。八丈島からさらに40分の場所にある個人が所有する小さな島が舞台になる。島全体が密室状態で、そこで起きた事故(実は殺人事件)が起点になるミステリー。自衛権を巡っての社会派ドラマでもある。細菌兵器を持つことと核兵器を持つことの間にどれだけの差があるのか。テーマは大きいし、考えさせられる。ただのミステリーではない。

TVシリーズの延長線上にある作品ではあるけど、独立した映画としても、ちゃんと成立している。ただ、終盤の展開は強引すぎたし、大風呂敷を広げた先がこの程度の終わらせ方では、少し尻すぼみだ。国家を揺るがす大事件になるはずなのに、いつもこんな感じで、その直前で、終息する。それは前回のスピンオフ作品『Xデイー』もそうだった。

 主人公の2人はとてもいい。水谷豊はこの当たり役を、見事にこなしていくし、成宮寛貴とのコンビもとてもいい。特命係が警察を代表して、自衛隊や、民兵と向き合うという話の構造も上手い。要するに、そこそこには楽しめる映画だ。期待しないで見るといい。

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